安藤勝己が選定した「3歳牝馬番付」 ハイレベルな世代の女王候補は? (2ページ目)
世代最高レベルのレースにおいて、後続を突き放して勝った。横綱に指名するのは、この馬しかいない。桜花賞に向けても、レースで力を出しきるタイプのようだから、阪神JFからの直行ローテというのも、むしろプラスだろう。
クラシックを目指す3歳馬について、自分が最も重要視するポイントは、追ってからどれだけ伸びるか。クラシックの前哨戦やトライアルなどで、いっぱいいっぱいでなんとか粘って勝ったという馬の場合、力はあっても底が見えているような気がする。逆に、そうしたレースにおいて、追ってから凄まじい伸びを見せた馬、追えば追うほど伸びそうな馬というのは、クラシックレベルにあると思っている。
その点、阪神JFでのアルマヴェローチェは、追ってからの伸びに目を見張るものがあった。こういった馬は、奥があるというか、伸びしろも計り知れない。ただそうなると、終(しま)いの伸び方も含めて、もしかすると桜花賞よりオークス向きかもしれない。
この記事に関連する写真を見る ◆ ◆ ◆
今年の3歳牝馬は、ずば抜けた存在はいないものの、本当にレベルが高い。とりわけ、番付に入れてもいいような小結、前頭筆頭クラスの馬が何頭もいて、どの馬にするか、かなり悩んだ。最近はトライアルをスキップしてぶっつけで本番に挑んでくる馬も多いぶん、力の比較が難しいことも頭を悩ませた理由だ。
そういう意味では、番付に名前が挙がらなかった馬のなかにも、上位に食い込んできそうな存在はたくさんいる。これまでにクリストフ・ルメール騎手が騎乗して、重賞などで勝ち星を挙げきた馬たちもその候補だ。
いずれにせよ、桜花賞は阪神・芝1600mの外回りで行なわれるようになってから、紛れが少なくなった。その結果、世代上位の力のある馬たちが戴冠を遂げ、勝ち負けを演じている。そうした傾向は今年も変わらないだろう。そして、その桜花賞の上位組がオークスでも覇権を争うことになるのではないか。
ただし、今年は全体のレベルが高いだけあって、現段階で条件クラスでも力のある馬がいる。オークスでは、そういった馬たちが台頭する可能性も十分にある。
安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として精力的に活動している。
フォトギャラリーを見る
2 / 2