イクイノックスの影響? 外国馬がジャパンCを回避して香港国際競走に出走する理由 (4ページ目)

  • 土屋真光●文・撮影 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

◆香港スプリント(芝1200m)

 昨年の同レースで人気を裏切った(6着)、地元のラッキースワイネス(せん5歳)が雪辱に燃える。ただ、昨シーズンにGIを3勝したのにも関わらず、重ハンデで使い込まれているのは気になる点だ。

 人気の盲点となりそうなのは共に香港の、昨年の勝ち馬ウェリントン(せん7歳)と、同2着のサイトサクセス(せん7歳)だ。

 前者は、2走前のイギリス遠征で大敗した以外は安定して上位に食い込んでいる。後者も、2走前のGⅡプレミアボウル(沙田・芝1200m)では約6kgのハンデ差があったとはいえ、ラッキースワイネスを下している。本番に照準を合わせてくるジョン・サイズ厩舎だけに、昨年の再現は十分に考えられる。

◆香港マイル(芝1600m)

 歴代の世界最高獲得賞金額を更新している、香港のゴールデンシックスティ(せん8歳)が人気の中心と見られているが、2着に敗れた昨年以上に今年は「危険な人気馬」と見ている。中間の調教の本数はこなしているものの、今回が今シーズンの初戦。すでに残り3戦で引退を表明しており、いちファンとしては意地を見せてほしいが、今回は着外まであることも想定していいだろう。

昨年の覇者である香港のカリフォルニアスパングル(せん5歳)も、人気ほどの信頼度はない。ならば前哨戦を制した、同じ香港のビューティーエターナル(せん5歳)のほうが計算が立ちそうだ。

 日本で人気になりそうなナミュール(牝4歳)は、今回のような馬場に強いハービンジャー産駒なので、もう一発を期待してもいいだろう。盲点となりそうなのは、今年3月の香港ダービー(沙田・芝2000m)を勝った香港のヴォイッジバブル(せん5歳)。安定感に欠くところはあるが、一発の魅力がある。

そして、リムズコジオスコ(せん6歳)は3着でも好配当が間違いない。格下に見られるシンガポール調教で、昨年はスプリントに挑戦して惨敗したが、適距離はマイル前後。来年で廃止となるシンガポール競馬の最後の光を見せて欲しい。

◆香港カップ(芝2000m)

 連覇を狙う香港のロマンチックウォリアー(せん5歳)が出走。前走はオーストラリアでのGⅠコックスプレート(ムーニーヴァレー・芝2040m)で勝利を収めた。ただ、そこで全力を出し切ってからの1カ月半後の帰国初戦だけに、状態はピークとは言い難いだろう。

 日本から出走するプログノーシス(牡5歳)にとっては、春のGⅠクイーンエリザベスII世C(沙田・芝2000m)で敗れた借りを返すチャンス。ただ、どうしても出遅れ癖はついて回ってしまうだけに勝ちきれない可能性は残る。一方でローシャムパーク(牡4歳)は、マイルで触れたナミュールと同じハービンジャー産駒で、一気に突き抜ける可能性も大きい。その2頭の日本調教馬は、日本で人気になるだろう。

フランスのオリゾンドレ(せん3歳)は、比較的高速決着だったパリロンシャン競馬場でのGⅡドラール賞(パリロンシャン・芝1950m)を快勝している。続くGⅠ英チャンピオンS(アスコット・芝1990m)でも3着と見せ場を作ったが、同馬に関しては渋ったアスコットの馬場より、良馬場の沙田のほうに適性がありそうだ。

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