イクイノックスの影響? 外国馬がジャパンCを回避して香港国際競走に出走する理由 (3ページ目)
これを聞いて思い出したのは、今年のジャパンCに出走したイレジン(せん6歳)のジャンピエール・ゴーヴァン調教師が、レースの数日前に発していた言葉だ。
「香港からも勧誘を受けていましたが、JRAのフランス駐在の方が昨年から熱心に声をかけてくれていたので、それに応えようと思いました」
長くコミュニケーションを取り続ければ、信頼関係を構築することができる。ヨーロッパやオセアニアは社交の色がより強いだけに、招待のカギを握るのは、条件だけでなく気軽に前向きに話し合える関係性なのかもしれない。
【馬券発売の4レースを予想】
香港では日本調教馬も毎年のように好成績を残しており、今年も4つのGI競走に日本調教馬が出走する。迎え撃つ香港勢も、ヴァーズ以外の3競走で各距離カテゴリーのエースが出走。2023年の国際競走のフィナーレとして相応しい戦いが繰り広げられそうだ。
ただ、今年に関しては、大方の予想に反して波乱の連続になるのではないかと筆者は見ている。となれば、日本で発売される馬券でも好配当をきっちりと取りたい。各レースでの押さえどころ、波乱のカギとなる馬を見ていこう。
◆香港ヴァーズ(芝2400m)
香港でこの距離のレースが行なわれるのは年に3回のため、地元の馬はやや劣勢になりやすい。加えて、今年はこのカテゴリーのエースであるロシアンエンペラー(せん6歳)が回避した。
国外ブックメーカーのオッズでは、日本のレーベンスティール(牡3歳)とアイルランドのウォームハートが人気を分け合い、差なく日本のゼッフィーロ(牡4歳)が続く三つ巴の様相だ。日本オッズでは、これにジェラルディーナ(牝5歳)も加わるだろう。
2400mという長い距離ながら、このレースでは少頭数であっても内枠がかなり強い。人気が高いウォームハートは、芝質が似ているアメリカのサンタアニタパークでのGⅠブリーダーズCフィリー&メアターフ(サンタアニタパーク・芝2000m)で2着と好走。また、このレースと好相性のフランスでもGⅠヴェルメイユ賞(パリロンシャン・芝2400m)を勝利しているだけに無視できない。
となると穴馬の出番は少なさそうだが、勝つまではいかないまでも、ヒモ穴としてはオーストラリアから転戦してきた、UAEのウエストウインドブローズ(せん4歳)を挙げたい。
秋からメルボルンに遠征し、3戦してGⅠを2着が2回。前走の豪チャンピオンズS(フレミントン・芝2000m)は59kgの斤量の影響もあってか、ちぐはぐな競馬で9着と不完全燃焼に終わり、ここに矛先を向けてきた。2着だったコーフィールドCの走りからも、距離の再延長は望むところだ。
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