検索

イクイノックスの影響? 外国馬がジャパンCを回避して香港国際競走に出走する理由 (2ページ目)

  • 土屋真光●文・撮影 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 さらに、今回の香港国際競走に管理馬を4頭送り込んだエイダン・オブライエン調教師にも話を聞くことができた。オブライエン調教師は、ジャパンCにもコンティニュアス(牡3歳)を出走させる予定だったが、残念ながら故障により実現しなかった。香港にはヴァーズにウォームハート(牝3歳)、カップにルクセンブルク(牡4歳)と、どちらもイギリス・アイルランドでGⅠを制している一線級の馬を出走させる。このあたりの馬も、ジャパンCに来てもらいたいレベルの馬だ。

「レース選択においては、常にどの馬も、さまざまな選択肢と可能性を持たせることを心掛けています。今年のジャパンCにも、オーギュストロダン(牡3歳)や、ルクセンブルクも予備登録をしました。他に登録した馬も含め、これまでの競走成績や血統背景から考えて、ジャパンCという選択肢を残しておきたかったのです。

 オーギュストロダンはブリーダーズCで引退というプランになりつつありましたし、ルクセンブルクはイクイノックスを相手にしては距離面で不向きだと思い、最終的にはコンティニュアスならイクイノックスと対戦するに相応しいと考えました。イクイノックスが強いのは承知していましたし、どの国でも強い日本の馬が、ホームコースだとより手ごわいのはわかっています。それでも、私たちもいつかはその舞台で勝ちたいと思っています。来年以降も『いける』と思った馬は挑戦させるつもりです」

 今回、オブライエン勢は4頭で香港に乗り込んだが、仮に香港やブリーダーズC、ドバイなどのように、JRAもジャパンCと同日に他の距離カテゴリーでGIレースを行なうことになった場合、出走を後押しする理由になるだろうか。そう尋ねると、「それはチャーミングだ」と笑顔で答えた。

「力のある馬のグループで遠征できるのは、調教のメニューもアレンジしやすいですし、スタッフも助け合えるので、それだけでメリットはとても大きいです。でも、勝ちたいレースであれば、行かない理由にはしません」

 故障によってコンティニュアスの来日は叶わなかったが、それでもJRAの対応には感謝の意を示す。

「今年のジャパンCは、JRAの配慮で帯同馬もつけさせてもらえることになっていました。そこまでしてもらえるなら、"カーニバル開催"は絶対に必要なものではありません」

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る