有村智恵×生粋のフェードヒッターたちと歩んできたヤマハのフィッター梶山氏 プロのフィードバックが先々のクラブの進化を促す (2ページ目)
【有村プロのアイアンには苦労している】
――有村プロから梶山さんに聞いてみたいことはありますか?
有村 今までで一番大変だった私からの要望と、他の選手からの要望で、「これ大変だったな」というのはありますか?
梶山 有村プロで大変だったことって結構あって、一番は難しい(笑)。有村プロは、感覚に間違いがないから大変なんですよ。
例えば、単純にゴルフクラブって言っても14本あって、有村プロも(ヤマハのクラブを)10何本かな?使っているけど、それぞれの感覚、打った時のフィーリングを揃えなきゃいけない。アイアンも7番を打って「いいです」と言っても、よくあったのが、「6番がうまくいかない」とか「ピッチングが」とか。
有村 うんうん、あった。確かに。
梶山 アイアンセットを渡せばいい、っていうプロもいるんだけど、(有村プロは)一番手一番手の感覚で言うから、アイアンセットで渡しているというよりは、ドライバーを一本、6番アイアンを一本、7番アイアンを一本みたいな、一本ずつ作っている感覚になるんです。ちょっとマニアックな話になるんですけど、アイアンの形状もロフトを曲げたりすると多少見え方も変わるので、その見え方、アイアンの顔を揃えるのには結構神経質になります。アイアンで苦労しているかな、有村プロには。
有村 アイアンは私の生命線だから、そうかもしれません。
梶山 それこそ今日(撮影現場に)ありますけどね。あなた専用に作ったアイアンセットが。
有村 そうですね。プロトタイプを作っていただいて。
梶山 とにかく有村プロ好みに作った、形状もウチの商品にはない形状です。顔の形にもいろいろあって、大事なのは、構えた時にどう見えるか、この歯の部分をいかにフェードが打ちやすい形にするか。
有村プロ自身が言ったわけじゃないんだけど、フェードを打っていくにはここを削らないと、とか、ここに丸みがあると(フェードを)打ちにくい、みたいな感覚があって。有村プロのクラブの場合、リーディングエッジはかなりまっすぐ。通常はちょっとカーブして逃げる顔をしているんだけど、ここはまっすぐでここ(先)から逃がす。フェーダーなので、左に引っかかるイメージは嫌だけど、リーディングエッジから丸いとフェードが打ちにくい、とか。
有村 打ちにくい!
梶山 というのがあるので、そういう細かなことを全部形にしたのがこのアイアンです。
有村 大事にします(笑)。
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