検索

井上尚弥と中谷潤人の試合予想にノニト・ドネアも「興奮してくる!」伸び盛りの中谷は今後、パッキャオのようになれるか

  • 林壮一●取材・文 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

米ボクシング関係者から見た井上尚弥vs.中谷潤人 後編

(前編:井上尚弥vs.中谷潤人を米ボクシング関係者たちはどう見る? モンスターの防衛戦を見て予想を変えた識者も>>)

【ドネア「本当に楽しみ」】

 フライからフェザーまで5階級を制し、"モンスター"井上尚弥とも世界戦の舞台で2度戦ったノニト・ドネアにも、来年5月に予定されている中谷潤人戦の予想を訊ねた。

井上尚弥と2度戦ったドネア井上尚弥と2度戦ったドネアこの記事に関連する写真を見る

「イノウエもナカタニも超一級品だから、予想は本当に難しいです。2人の利点は、イノウエならスピードと経験値、そしてパンチ力。ナカタニもパワーがあり、背の高いサウスポーだというところでしょう。

 イノウエがナカタニの懐に入れるか否かがカギになりそうですね。距離の取り合いが結果を左右するかな。離れて戦えば、ナカタニが有利、接近戦ならイノウエのボディショットに分があるように感じます。今、こうして話しているだけで興奮してきますね!

 現時点では50/50としか言いようがありません。これから、来年の5月までに両チャンピオンがメンタル、技術をどれだけ磨き上げていくかにかかっているでしょう。2人が試合をする度に、僕も含めて、色んな意見が出る筈。本当に楽しみですね‼」

 ドネアは終始、笑顔で答えてくれた。

 WBA/WBC/IBF/WBOスーパーバンタム級タイトルマッチを、T-モバイル・アリーナの記者席から見つめたあと、井上、中谷のこれまでのファイト映像をじっくり見たジェフ・メイウェザーにも、後日コメントをもらった。かつてのパウンド・フォー・パウンドで、ここ数年はYouTuberやキックボクサーなどとのエキシビションで稼ぐ"Money"フロイド・メイウェザー・ジュニアの叔父である。

フロイド・メイウェザー・ジュニアの叔父、ジェフ・メイウェザー氏フロイド・メイウェザー・ジュニアの叔父、ジェフ・メイウェザー氏この記事に関連する写真を見る

「ダウン後の立て直しは見事だった。でも俺は、イノウエのディフェンス面が気になっている。一方のナカタニも非常にうまい。モンスターと戦う時は、間合いと距離を利用してパンチを当てる必要があるね。距離を取ってジャブを放ち、出たり入ったりしながら攻撃的な姿勢を貫くことだ。ナカタニにはいいジャブがある。ジャブで試合のテンポをコントロールし、相手を前に出させて、接近してくるのを捕まえる策が有効と見る。

 打ち合いはイノウエも望むところだろう。イノウエは前進し、ジャブの差し合いで相手を凌駕しようとするだろう。メンタルを武器に、距離を詰めていくんじゃないか。

 2人とも偉大なファイターだが、この試合こそボクシングの基本である"ジャブをいかに当てるか"で決まりそうだな。ワクワクする。あえて50/50と言っておくが、ジャブを制した者が勝つ――そんな戦いになるだろう」

1 / 4

著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

【写真】女優・ラウンドガール・格闘家の「三刀流」 宮原華音フォトギャラリー

キーワード

このページのトップに戻る