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井上尚弥と中谷潤人の試合予想にノニト・ドネアも「興奮してくる!」伸び盛りの中谷は今後、パッキャオのようになれるか (3ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

【英雄視される前のパッキャオとかぶる中谷】

 まずは6月8日、中谷がどんなパフォーマンスで、西田凌佑からIBFバンタム級タイトルを奪って2冠を達成するかに着目したい。ここ最近の中谷の躍進ぶりは、かつてのマニー・パッキャオを彷彿とさせる。

6月8日の西田戦に向けてLAキャンプで調整した中谷6月8日の西田戦に向けてLAキャンプで調整した中谷この記事に関連する写真を見る

 2001年にボクシングの本場・アメリカ合衆国に進出した"パックマン"は、同年6月にIBFスーパーバンタム級タイトルを獲得した。だが、決して際立った男ではなかった。この日のメインイベントでは、オスカー・デラホーヤがハビエル・カスティリェホを判定で下してWBCスーパーウエルター級タイトルを奪取している。その前座でパッキャオは6回KO勝ちを収めたが、強烈なインパクトを残したとは言いがたい。

 同じ年の11月、今度はフロイド・メイウェザー・ジュニアの前座に登場。パックマンにはWBO王者との統一戦が組まれたが、偶然のバッティングで第6ラウンドにドクターストップとなり、5回までの採点の結果、3者3様のドローに終わった。

 筆者の取材ノートには「日本製、ミズノのシューズを履いたサウスポーのフィリピン人、ストレートが鋭い」としか記されていない。記憶も、文字のままである。翌2002年6月には、WBC/IBFヘビー級チャンピオンのレノックス・ルイスvs.マイク・タイソン戦の前座で2ラウンドKO勝ちを飾り、122パウンドの赤いベルトを守っているが、この時もメインイベントの一戦が大きすぎてパックマンは蚊帳の外、といったところであった。まさか、のちにデラホーヤを引退に追い込み、メイウェザーとのメガ・ファイトを行なうなどとは露ほども思えなかった。

 しかし、パッキャオはフェザーに階級を上げ、マルコ・アントニオ・バレラ、ファン・マヌエル・マルケスと拳を交え、さらにスーパーフェザーに増量し、エリック・モラレス戦を迎える。メキシコの名王者3名とのサバイバルを経験しながら、強烈な光を放つようになる。

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