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井上尚弥と中谷潤人の試合予想にノニト・ドネアも「興奮してくる!」伸び盛りの中谷は今後、パッキャオのようになれるか (4ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

 特にモラレス戦は初顔合わせで判定負けを喫しながらも、リターンマッチを10ラウンドKO。3戦目は第3ラウンドで鮮やかに仕留めた。そんなパックマンは時代の寵児(ちょうじ)となる。フィリピン人サウスポーと契約していたTop Rank社の代表、ボブ・アラムも"金のなる木"の価値を了知し、最も話題になる選手とのファイトを組み続けた。

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 かつてデラホーヤを"持ち駒"としていたアラムは、バルセロナ五輪の金メダリストとしてプロに転向したゴールデンボーイには、ピークを過ぎたビッグネームとの試合をマッチメイクし、ビッグマッチの合間には安牌(あんぱい)とのチューンナップ戦を挟んだ。が、パッキャオには強豪とのハードなファイトばかりを用意する。そうした状況下で、フィリピン人サウスポーは勝ち続け、英雄視されるようになった。三十路を超えてややペースダウンしていくが、それまでの4年弱は「狂い咲き」と表現できた。

 筆者の目には、モラレス第2戦目の頃のパックマンと、今の中谷潤人がだぶる。来年5月のスーパーファイトまで、誰もが思い思いに持論を述べるであろう。世界中が2人の日本人チャンピオンにこれほど熱い視線を送るなどレアケースだ。

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 井上尚弥、中谷潤人の存在に心から拍手を送りたい。アコピアンが述べたように、両者のぶつかり合いは一戦だけでは終わらない可能性もある。

著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

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