有村智恵プロとフィッター梶山駿吾氏が語るアマチュアのゴルフクラブ選びのポイント フィッティングは受けたほうがいい?
【連載】有村智恵のCHIE TALK(第11回)
有村智恵と、長年有村プロのクラブフィッターを務めるヤマハRMXブランドディレクターの梶山駿吾氏が、アマチュアのクラブ選びのポイントを解説する。
【ゴルフクラブはF1マシンに近い?】
――梶山さんから見て、プロとアマチュアの違いはなんですか?
梶山 アマチュアゴルファーとプロゴルファーの決定的な違いは、スイングの再現度です。100回打って100回同じスイングをするプロゴルファーと、100回打って100回違うスイングをするアマチュアゴルファー。
もちろん、トップアマになるとその確率は上がるんでしょうけど、我々のようなエンジョイゴルファーだと、100回打ったら100回違うスイングをしているので、うまい下手ではなく、クラブを合わせ込むところの考え方は、全く違うので面白いですよ。
プロゴルファーは必ず、作ったものがその意図どおりの結果になります。たまに日が変わって、昨日よかったけど今日はダメ、はあるんですけど、根本的には作ったものが確実に結果に反映される。すごく特殊な生き物だな、と思いますよね。
こんなに機械みたいなのに感性があるので、大変ですけど(笑)。感性と気持ちの強さが混ざってくる。気の強い機械ですね(笑)
有村 ゴルフ業界って、販売する相手とプロ、それぞれの求めているものが違いすぎて、そこが大変そうですよね。プロが求めているものを追求して、作って、販売して、じゃあそれがすごく売れるかというと絶対違うんですよ。売れるものとプロが好きなものが違う。その難しさは、あるんじゃないかな。
毎回同じスイングで打てる人に向けて作るクラブと、毎回違う入り方をする人に向けて作るクラブは違いますよね。
梶山 一般的な車を作るのと、トップレーサーが乗るF1マシンを作るのに近いのかもしれない。我々はプロゴルファーに対してはプロ用のF1マシンを作っている感覚なので、それを一般の人に「これで公道を走ってください」ってわけにはいきませんよね。
でも、そういうF1レーサーが試したエンジンやタイヤを、一般モデルに落としていく、という感覚じゃないですか。感覚が違う。一緒にしちゃうと大変だけど、分けて考えれば、多分どこの業界でも同じようなことをやっているんじゃないかな。
有村 ほんと、たとえがうまいですよね(笑)。
梶山 プロアスリート、プロスポーツのなかで、最も道具がアスリートのパフォーマンスに影響を与えるのは、F1だと思うんですよ。もちろんドライバーのスキルもあるけど、それ以上に、エンジン、ステアリング、タイヤ、何もかもがパフォーマンスに影響する。
ゴルフもそれに近いですよね。ゴルフクラブだけでも14本あって、シューズ、ボール、ウェアも影響します。身につけているもの、使う道具がパフォーマンスに影響する部分が、ゴルフはすごく多いんですよね。
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