四半世紀の時を超えアニメ化 伝説のゴルフ漫画『ライジングインパクト』を鈴木央と久野美咲が語り尽くす「僕の"厨二病心"が詰まった作品なので...」 (4ページ目)
【福島弁に悪戦苦闘も「パーフェクトな演技」】
ーー久野さんは福島弁に対してどんな印象を持っていましたか?
久野:福島弁は、ガウェインにとって切っても切り離せないパーソナルな部分で、欠かせないものだなと、原作を読んでいる時から感じていました。この喋り方だからこそ、彼のほがらかさとか、ちょっと能天気なところとか、周りの人が警戒しないような屈託のない笑顔とか、ガウェインの魅力がより感じられるようになっているなって。なので、福島弁は演じるうえで大切にしたいなと思いました。
鈴木:じつはオーディションの時、僕が「久野さん、すごく声がガウェインにぴったりでいいと思います」と感想を話したこともあり、主役を受けてもらうことになったんですけど、あとになって福島弁に対応できるか心配になってしまって。「あ、久野さんってどこ出身でしたっけ?」と確認しちゃったことがあったんです(笑)。
実際のところ「大丈夫ですかね?」と尋ねたら、音響監督の小泉紀介さんが「あの子ならなんとかしますよ」と言ってくれました。ある日久野さんがあるノートを見せてくれたんです。そこには福島弁の喋り方やイントネーションについてびっしり書かれていて。久野さんがアフレコ前にどれだけ準備してくれていたのかがわかりました。だから実際にアフレコ現場で聞いてみても、「本当に東京の人なのかな?」と疑うぐらい、まったく違和感がありませんでした。本当にすごかったです。あのノートは公開したほうがいいですよ。
久野:それは恥ずかしいですね(笑)。
ーーどのように勉強されたんですか?
久野:福島出身の声優・小針彩希さんが毎話、ガウェインのセリフを福島弁で喋った音声ガイドを作ってくださって。その音声をずっと聞きながら練習していました。でも福島弁って特徴的ななまり方はもちろんなんですけど、とにかく濁る音が多くて、標準語からは想像もできないようなアクセントなんです。
なので、少しでも理解できるように、ノートにガウェインのセリフを全部ひらがなで書き出して、ここの音が上がるとか、逆に下がるとか印をつけたりして頭に叩き込んでいました。それを指でなぞりながら、ガイドと同時に喋って練習したり。でもひとりでやろうとした途端、合っているのか間違っているのかわからなくて混乱したり......。セリフに感情を乗せた途端、イントネーションがズレちゃったり、掛け合う相手がみんな標準語なので、どうしてもつられてしまって、本当に大変でした。心の中はいつも、いっぱいいっぱいでしたね(笑)。
鈴木:でも、最後のほうは標準語で話す時に無意識になまっていたぐらい、なりきっていましたよ(笑)。とても難しかったと思いますけど、パーフェクトに演じてくださいました。
久野:央先生にそう言っていただけるなんて......。ありがとうございます!
【Profile】
鈴木央(すずき・なかば)/1977年2月8日生まれ。福島県出身の漫画家。1998年に「週刊少年ジャンプ」誌上で『ライジングインパクト』にて連載デビュー。主な代表作は『ブリザードアクセル』、『金剛番長』、『七つの大罪』、『黙示録の四騎士』など。
久野美咲(くの・みさき)/1月19日生まれ。東京都出身の声優。2003年に映画『ボイス』の吹き替えで声優デビュー後、2010年に『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』でTVアニメ初出演。『七つの大罪』(ホーク役)、『3月のライオン』(川本モモ役)、『アイドルマスター シンデレラガールズ』(市原仁奈役)、『メイドインアビス 烈日の黄金郷』(ファプタ役)など出演作多数。
アニメ『ライジングインパクト』Netflexでシーズン1(全12話)公開中
ライジングインパクト | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
ⓒ鈴木央/集英社 ⓒNetflix
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