「石川遼は必ず復活できる」タイガー・ウッズの元コーチらが断言 (2ページ目)

  • 吉田洋一郎●文 text by Yoshida Hiroichiro
  • photo by Getty images

 そこで、困窮したローズは、ティーチングプロ界の重鎮であるデビッド・レッドベターの門を叩く。自ら作り上げてきたものを一度リセットし、"外部の目"を入れることによって、スイングの再構築を行なったのだ。

 当時、レッドベターのもとでコーチとして活動していたアンドリュー・パークは、その頃のローズについて、こう語っている。

「低迷していた時期、ローズは本当によくレッドベターの話に耳を傾けていました。まだ若かったけれど、自分のやるべきことを理解し、精一杯取り組んでいたのです」

 その結果、ローズはツアー参戦から5年目を迎えた2002年、21歳になってようやく欧州ツアーで初勝利を挙げた。以降も紆余曲折ありながら、ローズはPGAツアーにも参戦。30歳を目前にした2010年6月、メモリアルトーナメントを制してPGAツアーでの初優勝を飾った。

 それからはコンスタントに結果を残して、2013年には全米オープンを制覇。悲願のメジャータイトルを手にした。

 現在のローズには、スイングコーチにショーン・フォーリー、パッティングコーチにはフィル・ケニオンという名コーチらがついて、ついに昨年、世界ランキング1位にまで上り詰めた。

 優秀なコーチたちによって、ローズのフォームはまるで機械のように、精密に構築されている。挫折によって、才能だけでは通用しないことを悟ったローズは、意図的に作り上げられた技術によって、30代後半で世界の頂点に立ったのだ。

 長い間、ローズの成長を間近で見てきた先述のパークは、同じように若くして壁にぶち当たっている石川にも、「復活の可能性は大いにある」と見込んでいる。

「石川がPGAツアーで結果が出ずに苦しんでいる頃、周囲の多くは飛距離不足が要因だと指摘していましたが、私の意見は違います。飛距離では劣位だったゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)が9回もメジャーを勝って、同じくルーク・ドナルド(イングランド)も世界一になっているからです」

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