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【木村和久連載】「バックティーから
打とう」と誘うのはパワハラです (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 飛ばし屋はラウンド前に、実に狡猾なことを言います。

「ゴルフは設計家の意図を汲んでラウンドしないと。バックティーからラウンドすると、また違う風景が見えてくるよ。ゴルフは、実に奥が深いんだ」

 確かに違う風景は見えますが、設計家の意図というのは、まったく違うんですよ。

 例えば、バックティーから250ヤード地点にでっかいガードバンカーがあるとするでしょ。飛ばし屋なら、狭いフェアウェーを狙って250ヤード打つ。もしくは、バンカーを避けてコントロールし、230ヤードぐらいに刻む。はたまた、目いっぱい打ってバンカー超えを狙うとか、いろいろと考えて楽しいわけですよ。

 同じコースを、飛ばないキミがレギュラーティーから回ってみましょうか。ちょうど220ヤード打つと、ガードバンカーに捕まります。それを避けて、フェアウェーを狙うか、刻むか、飛ばないキミにとっては思案のしどころです。攻略法や考えることは、おおよそ飛ばし屋と一緒です。

 要するに、設計家の意図を汲んだラウンドをするなら、飛ばないアベレージゴルファーはレギュラーティーから回ってこそ、設計家の罠に程よく遭遇できるのです。バックティーからでは、どうあがいてもバンカーには届かない。それじゃあ、設計家が考えたハザードが完全に無視されてしまうわけで、ラウンドしても設計家の意図は汲めないし、ぜんぜん楽しくないんですよ。

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