【木村和久連載】「バックティーから打とう」と誘うのはパワハラです (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 飛ばない人がバックティーからラウンドすると、想像以上のストレスを受けます。それを、飛ばし屋はわかっていない。いや、わかっているけど、知らないふりをしているんです。あ~、ほんと性格悪いなぁ......。

 まず、距離が長いので、飛ばないこちらは常にドライバーをマン振りです。飛ばなくても大丈夫と思っても、視覚的なものもあって、無意識に力んでしまいます。

 しかも、オーナーで打つことは稀でしょ。そうなると、必ず自分の前に飛ばし屋がガ~ンと打ってくる。別にそのボールを超えようとは思いませんが、なんとなく「恥をかかないように」と思って、結果、力んでしまうんですね。

 ショットは、力めば力むほど乱れます。だから、普段よりもボールが相当曲がる。普通にゆるい球で打っていれば、長いミドルホールでも3オンできるのですが、ティーショットで力んで、いきなり林にボールを入れたりしてしまうから、「大叩詠一」と「暴れはっちゃく」が交互に登場してきます。もう収拾がつきません。

 まんまと飛ばし屋の術中にはまって、コツコツゴルフをする前に自滅。もらったハンデも早々に使い切って、想定外の損失を被ることしばしばです。

 そうして、昼休みに「だから、バックティーでラウンドするの、嫌だったんだ」とぶつくさ言っていると、飛ばし屋はにこやかに「何事も修行だよ」と、高らかに勝利宣言するのです。

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