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【プレミアリーグ】チェルシーとマンUの「監督解任」は吉と出るか 22年ぶりVに邁進するアーセナルの落とし穴 (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Hideki Kasuya

【パトリック・ヴィエラが指摘】

 一方、現在首位のアーセナルは市場が開いても動かなかった。右利きを10人、レフティを11人揃えた選手層はリーグ屈指の分厚さを誇っているからだ。

 チーム最多得点者はヴィクトル・ギェケレシュの8ゴール。絶対的なストライカーがゴールを量産しているわけではないが、総得点49はマンチェスター・Cの51点に次ぐリーグ2位を誇っており、あらためて補強する必要性も感じられない。

 ただ、2003-04シーズンに「無敗優勝」の偉業を成し遂げた当時のキャプテン、パトリック・ヴィエラは次のように語っている。

「チームの士気を高めるリーダーが必要だ。精神力には依然として問題が多い」

 優勝を争うマンチェスター・Cのベルナルド・シウバはマインドゲームを仕掛けてきた。
 
「私がイングランドに来てから9年経つが、アーセナルは一度もプレミアリーグを制していない」

 たしかに彼の言葉を借りるまでもなく、アーセナルの主力は優勝の味を知らない。前回優勝は22年も前だ。マンチェスター・Cとマッチレースになった時、経験値と精神力が勝負を左右するのだろうか。

 その両者の隙を虎視眈々と狙う3位のアストン・ヴィラの存在も面白い。冬の市場では、イングランド代表歴を持つタミー・アブラハムをベシクタシュから獲得し、2シーズン前まで中盤のレギュラーだったドウグラス・ルイスをユベントスから呼び戻した。この両者は間違いなく即戦力だ。

 アストン・ヴィラを率いるのは「稀代の戦術家」ウナイ・エメリ。プレミアリーグの優勝経験こそないものの、セビージャとビジャレアルでヨーロッパリーグを4回も勝ち取った名将だ。中盤のアマドゥ・オナナやブバカル・カマラ、前線のモーガン・ロジャーズなど、ビッグクラブが獲得を目論むタレントも少なくない。

 データサイト『Opta』によると、優勝確率はアーセナルが91.41%に対し、マンチェスター・Cは7.09%、アストン・ヴィラは1.36%と、ノースロンドンの名門が圧倒的に優勢だ。しかし、この3クラブは勝ち点9差のなかでひしめき合っている。

 2月下旬には本命と対抗が逆転しているかもしれない。プレミアリーグは混迷の度合いを深めながらシーズン後半戦に突入していく。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

【図】2025-26 欧州サッカー注目クラブ 主要フォーメーション

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