2020.06.03

セナとも仲良くやった人徳者ベルガー。今やモータースポーツ界の重鎮

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

記憶に残るF1ドライバー列伝(7)
ゲルハルト・ベルガー
 F1の元ドライバーがチームの首脳としてマネジメントを行なったり、レース運営に携わったりするケースは少ない。おそらく、F1ドライバーというのは「俺様が一番」という人種だからだと思われる。

 かつて日本で初めてF1のレギュラードライバーとなった中嶋悟が「それぞれの国でチャンピオンになり、自分が一番速いと思っている人間が集まっているのがF1」と語っていた。そんな競争の激しい世界ではエゴの塊でなければ生き残っていけないのは事実だろう。
マクラーレン・ホンダ、フェラーリなどで実績を残したゲルハルト・ベルガー
 それはドライバーだけでなく、デザイナーやエンジニア、メカニックなどのスタッフも同じで、下のクラスで実績を残してステップアップしてきた者だけがF1などのトップカテゴリーで働いている。

 そんな者たちが集まったチーム・組織をまとめていくリーダーは、よっぽどの人間力のある者でなければ務まらない。その資質を備えた数少ない元F1ドライバーがオーストリア出身のゲルハルト・ベルガーだ。マクラーレンやフェラーリなどで14シーズンにわたって活躍し、通算10勝をあげた。

 引退後は1999年から2003年までBMWのモータースポーツディレクターとして手腕をふるい、06年から08年には、トロロッソ(現在のアルファタウリ)の共同オーナーを務めた。そして現在は、ヨーロッパで高い人気を誇るドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)を主宰するITRの代表を務めている。