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ネイマールは「ブラジルの長友」だった? 議論百出の末に代表復帰が決まったセレソンの裏事情

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

 ブラジル人はお祭り好きな国民だ。なんでもかんでもすぐに祭りの材料にしてしまう。祝う理由が尽きることはなく、時には祭りそのものを作り出すことさえある。そして今回、前代未聞の規模で国民的な"祭り"となったのがワールドカップのメンバーの発表だった。原因はネイマール(サントス/34歳)だ。

「ネイマールはメンバーに入るのか、外れるのか」

 ブラジルのここ半年間の関心はその一点に尽きた。

 ブラジル代表のメンバーが発表される日まで、カフェやスーパー、ビーチ、レストラン、学校、オフィス、病院、全国のすべての家庭で、ネイマール問題が議論されてきた。今のネイマールにワールドカップを戦うだけのフィジカルがあるのか、もっと若い選手にチームを託すべきではないのか......テレビ番組に医師、心理学者、元選手まで招かれ、「ネイマールは身体的、精神的に、もう一度ワールドカップを戦い抜けるのか」が議論された。

 その祭りが最高潮を迎えたのが5月18日の代表メンバー発表当日だった。

ネイマールの代表復帰が発表されて喜ぶブラジルのファンたち photo by Reuters/AFLOネイマールの代表復帰が発表されて喜ぶブラジルのファンたち photo by Reuters/AFLO 何百万もの人々が日常を止め、カルロ・アンチェロッティ監督によるセレソン(ブラジル代表)の招集メンバー発表を見守っていた。テレビ、ラジオ、YouTube、スポーツサイト......至るところで生中継が行なわれた。スクリーンの前には人だかりができ、アンチェロッティがネイマールを選んでくれるよう祈る子どもたちの姿が映し出された。これほどの盛り上がりは、サッカー王国ブラジルでも珍しいことだ。

 誰もラフィーニャやヴィニシウス・ジュニオール、エンドリッキのことなど気にしていなかった。すべてはひとつの名前を中心に回っていた。ネイマールの招集を求めて公式の書簡をCBF(ブラジルサッカー連盟)へ送る政治家も現れた。

 アンチェロッティ自身もこの1年、代表監督として仕事をしたことで、「ネイマール」という存在がブラジル国民に与えるインパクトと熱量に驚いたと認めている。「まるで国民的な狂気だ。ブラジル独特の情熱だよ」と、先週も語っていた。

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