ネイマールは「ブラジルの長友」だった? 議論百出の末に代表復帰が決まったセレソンの裏事情 (2ページ目)
【選出には疑問の声も】
メンバー発表はリオデジャネイロの博物館で行なわれたが、スポーツの記者会見というよりはショーに近かった。大音量の音楽、巨大スクリーン、派手な演出。だが、肝心の代表発表がなかなか始まらない。CBF幹部やスポンサーたちはマイクの前で演説を続け、ブラジル代表のスポンサー契約が過去最高を更新したことなどを誇らしげに語った。
そして1時間以上に及ぶ息が詰まるような待ち時間の末、アンチェロッティがついに「ネイマール」の名を口にした瞬間――複数の街角で花火が上がった。まるでワールドカップの決勝でゴールを決めたかのように、クラクションとサイレンが街を埋め尽くした。SNSにはネイマールの名前を叫ぶ人々の動画が次々と投稿された。
一方、ネイマールの自宅で撮影された動画には、感動する家族の姿が映っていた。長男ダヴィ・ルッカは涙を流していた。
ネイマール自身は「ミッションは達成された」と語った。彼にとってはまず「ワールドカップへ行くこと」が何より重要なのだ。優勝できるかどうかは、また別の話だ。
熱狂は翌日の朝まで続いた。ネイマールは、スポーツ番組、新聞の一面、ラジオ、SNSを支配し続けていた。おそらくブラジルで代表のメンバー発表がこれほどの騒動になったのは、2002年のワールドカップでロマーリオが落選した時以来だったろう。
ただし、今回とは決定的な違いがある。当時のロマーリオは、ほぼ国民全員が代表入りを信じて疑わない存在だった。世界最高クラスのストライカーであり、どこへ行っても得点王だった。
一方、ネイマールはブラジル代表史上最多得点者であり、その数はペレをも上回っているものの、ワールドカップ予選に出場したのは2023年10月のウルグアイ戦が最後。2025年にサントスに復帰したが、やはり欠場が多く、今年に入ってからは全国選手権での出場は8試合にとどまる。34歳という年齢、絶えないケガ、そして度重なるファンやメディアとの衝突......。所属するサントスはリーグで降格圏に沈んでいるが、ネイマールにはどうすることもできないでいる。メンバー発表の24時間前には、審判と激しく口論もしていた。
だからネイマール選出を喜ぶ声ばかりではない。疑問を持つブラジル人も多くいる。ネイマールの招集問題は、ブラジル社会を政治的にも感情的にも、そしてサッカー的にも分断した。おそらくこの国で最も意見が割れるアスリートだろう。彼の名前が最終メンバーに入ったことで、国内の分断はさらに深まった。
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