【ワールドカップ2026】立ちはだかるファン・ダイク 日本代表が破らねばならない壁
【ワールドカップ2026 注目選手】
(10)フィルジル・ファン・ダイク(オランダ)
2026年ワールドカップで、ひときわ大きな存在感を放つディフェンダーがいる。オランダ代表の主将、フィルジル・ファン・ダイクだ。30代半ばに差し掛かっているが、その圧倒的な守備力と統率力は衰えを知らない。
photo by Aflo
世界最高のセンターバック
フィルジル・ファン・ダイクのキャリアは、決してエリート街道を突き進むものではなかった。10代の頃は皿洗いのアルバイトをしながらプロを目指し、フローニンゲンでも当初はセンターバックではなく右サイドバックとしてプレーしていた。しかし、セルティック、サウサンプトンでの活躍を経て、2018年1月にリバプールへ移籍したことで転機を迎える。
2018-19シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ制覇に貢献し、DFとしてバロンドールの投票で2位という快挙を達成。プレミアリーグでもリバプールを30年ぶりの優勝へ導くなど、名実ともに世界最高のセンターバックとしての地位を確立した。
全てを備えた完璧なディフェンダー
ファン・ダイクには、「完璧」という言葉がふさわしい。193cmの長身と強靭なフィジカルを誇り、空中戦で無類の強さを見せる。地上戦においても、相手FWにドリブル突破を許さない間合いを確保し、攻撃を断ち切る。さらに、戦術眼とリーダーシップで守備ラインに絶え間なく指示の声を送り、味方を動かしてピンチの芽を摘み取っていく。
攻撃面でも、精度の高いロングフィードを前線へ供給して一気に攻撃のスイッチを入れる。彼のひと振りからゴールが生まれる場面も少なくない。
代表チームにおける苦難の足跡
しかし、これほどの実力者でありながら、ナショナルチームでのビッグトーナメントには長らく縁がなかった。オランダ代表が2016年の欧州選手権、2018年のロシアワールドカップと立て続けに予選敗退を喫した暗黒期と、彼の全盛期が重なっていたためである。
初めてワールドカップのピッチに立ったのは、31歳で迎えた2022年カタール大会だった。ファン・ダイクは全5試合にフル出場。グループステージを首位で通過し、ラウンド16でアメリカを下した。
準々決勝のアルゼンチン戦では、0-2の劣勢から追いつく死闘を演じたが、PK戦の末に敗退。ファン・ダイク自身も1人目のキッカーとしてシュートを止められ、涙をのんだ。
強固な守備で予選を突破
2026年大会に向けた欧州予選において、ファン・ダイク率いるオランダ代表は安定した戦いを見せた。ロナルド・クーマン監督の下、彼は守備の要としてだけでなく、精神的な柱としても機能。守備のスタッツにおいても予選中の空中戦で高い勝率を維持し、無失点試合の量産に寄与した。さらに若手のマタイス・デ・リフトやナタン・アケといった実力派DFとの強固なユニットを作り上げた。
守備の安定感が攻撃陣に自由を与え、オランダは激戦の欧州予選を無敗の首位で突破。ファン・ダイク自身、「キャリアの集大成としてこの大会に懸けている」と語っており、そのモチベーションは頂点に達している。
日本代表は「ファン・ダイクの壁」を破れるか
もちろん、2026年本大会で彼が活躍することは、同じグループに属する日本にとってありがたいことではない。特に直接対決においては、ファン・ダイクという世界最高峰の壁を日本の機動力によって打ち破らねばならない。
スピードとテクニックを兼ね備えた日本のアタッカー陣が、ファン・ダイクの完璧なポジショニングを崩し、世界トップクラスの仲間入りを果たすことができるのか。大きな注目が集まっている。

