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三笘薫の「自信」はどこまで回復しているか 復帰後に語ってきた厳しい「自己評価」の数々

  • 山中忍●文 text by Shinobu Yamanaka

 スルーパスに反応し、三笘薫が左インサイドで裏に抜けた。正確なファーストタッチでボールの軌道を自らの進行方向へ。走り込みながらボックス内に侵入する。1月24日のプレミアリーグ第23節フルハム戦、後半11分のシーン。アウェーのゴール裏の一角に陣取っていたブライトンのファンならずとも、得点を予感したことだろう。

 三笘は、クロスを選択した。しかし、2タッチ目に左足から放たれたボールは、ゴール正面に走り込むCFダニー・ウェルベックの頭上を越えた。スピードも高さも、ありすぎた。蹴った当人が、「しまった!」と言うかのように、思わず両手で頭を抱えていた。

 結果的に逆転負け(1-2)を喫するブライトンが、前半に奪ったリードを2点に広げるチャンスを逃した一場面は、三笘の現状を表わす好例でもあった。

前節フルハム戦にフル出場した三笘薫(ブライトン) photo by AFLO前節フルハム戦にフル出場した三笘薫(ブライトン) photo by AFLO 左足首のケガから約2カ月ぶりの戦列復帰が叶ったのは昨年12月上旬のこと。その後、6試合目のリーグ戦出場で、先発は4試合目となった左ウインガーは、まだ100パーセントの状態ではない。三笘らしからぬ姿は、タッチライン沿いでプレッシャーを受け、簡単にボールを失った前半41分などにも見られた。

 前節のボーンマス戦(1-1)では、本人が「ミスも多いですし、追いついてくれたのでよかったですけど、自分のなかで課題も多い」と認めていた。復帰後初の先発フル出場となったボーンマス戦は、プレミアでの自己通算100試合目でもあった。日本人選手としては史上3人目の意義ある通過点。だが、「いい形で100試合を飾りたかったですけど、そういう実力かなと思っています」と語る三笘だった。

 もちろん、トップクラスの選手らしく、己に厳しくあるが故の発言ではある。ブライトンの"実力者"に対する周囲の信頼と期待は、続くフルハム戦もフル出場だった事実が物語っている。本人も、責任は十二分に承知の上だ。

「プレーで返さないといけなかったですけど、期待外れかなと思います」と反省していたのは、復帰後初のホームゲームとなった第17節サンダーランド戦(0-0)後のこと。後半にベンチを出た三笘は、総立ちの拍手喝采でホームの観衆に迎えられていたのだった。

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著者プロフィール

  • 山中忍

    山中忍 (やまなかしのぶ)

    青山学院大学卒。1993年に渡欧し、西ロンドンが人生で最も長い定住の地に。イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』、『バルサ・コンプレックス』(ソルメディア)など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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