三笘薫の「自信」はどこまで回復しているか 復帰後に語ってきた厳しい「自己評価」の数々 (3ページ目)
ほかにも、冒頭で触れたシーンの直後、味方がファーサイドでボールをリサイクルした流れからのクロスを、ジャンプのタイミングもいいヘディングで中央に折り返し、惜しくもウェルベックが合わせ損ねるなど、好機を演出してはいた。
しかしながら、冒頭の場面にしても、本来の三笘であれば、そもそも左足でのクロスではなく、もう1タッチで切り返し、右足でカーブをかけたシュートでファーポスト内側を狙っていたのではないか。その時間的余裕はあったように見受けられた。現時点の三笘には、それだけの「自信」が感じられないプレーが見られる。
この2文字が当人の口をついたのは、年始の第20節バーンリー戦(2-0で勝利)後だった。復帰後初めてスタメンに名を連ねた一戦では、今季、ミランからプレミアに戻ったベテラン右SB、カイル・ウォーカー(元マンチェスター・シティ、トッテナムなど)とのマッチアップが実現した。だが三笘自身は、「数回ありましたけど、抜きにいけるような相手ではなかったかなと思いますし、もう少し自信がついたらいければ、と思います」という反応だった。
その後、さらに先発3試合を重ねている三笘だが、まだ"心"のコンディションも回復途上にあるようだ。フルハム戦では、たとえば後半6分の、自ら勝負は挑まずいったんチームメイトにボールを預けてCKにつなげた場面でも、「自分でいってほしかった」と思わされた。試合後の本人に、「自信」を含む回復度を直接尋ねたいところだったが、敗戦に終わったこともあり、いつもは律儀な三笘もミックスゾーンには現れなかった。確認は、ホームでの次節エバートン戦に持ち越されることになった。
月末の同節は、ワールドカップイヤーである2026年のひと月目の終了を意味する。
復帰初戦となった昨年12月の第16節リバプール戦(0-2で敗戦)後、「ワールドカップどうこうではなく、まず自分がピッチに立つことでアピールしないといけない。そこで出ない限りは選ばれないと思いますし」と語っていた三笘。年始の試合後には、新年に期するところを聞かれ、「とにかく勝って上位に行くことと、僕自身、コンディション上げていくこと」と答えていた。
ブライトンは第23節を終えてリーグ12位。6ポイント離れている目標の欧州戦出場圏(6位以内)へと浮上するため、そして今夏の日本代表がワールドカップ16強の壁を破るためにも、心身両面における三笘の完全復活が待たれる。
著者プロフィール
山中忍 (やまなかしのぶ)
青山学院大学卒。1993年に渡欧し、西ロンドンが人生で最も長い定住の地に。イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』、『バルサ・コンプレックス』(ソルメディア)など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。
3 / 3

