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2026年ワールドカップへ欧州強豪がどんどん進化 5人交代制のフル活用と流れを変えられる選手たち (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【圧巻のラヤン・シェルキ】

 63分の3人交代でギアを入れたフランス。こちらの起爆剤はラヤン・シェルキである。

 デジレ・ドゥエ→ブラッドリー・バルコラはパリ・サンジェルマンでも定番のリレーだが、シェルキはこれが初キャップ。トップ下のマイケル・オリーセとの交代だった。

 圧巻だった。絵に描いたようなテクニシャンで両足をまったく同じように使う。ウスマン・デンベレもそうだが、それ以上の完全な両足利き。右利きらしいが、左足を使っている時は左利きにしか見えない。79分のゴールも左足だった。

 エムバペの横パスを受け、浮かせて左足のボレー。84分にはバルコラへの針穴を通すようなスルーパスからオウンゴールを誘い、93分にはコロ・ムアニへピンポイントのクロスボールでアシスト。3得点を生み出している。

 先発したオリーセは長身の技巧派で守備もしっかりやる現代的なトップ下だが、シェルキは時代錯誤に思えるくらい古典的である。そんなに走らないし、守備力も高くない。ただし猛烈にうまい。シェルキ登場前もフランスはエムバペ、ドゥエ、デンベレが強力な個人技でチャンスを作っていたが、シェルキはこの3人をも超越したスキルで流れを持っていった。

 自信満々で不遜にみえるくらいのプレースタイルは、ブラジル代表の大御所的名人だったロベルト・リベリーノを想起させる。技術が違うので見えているものも違う。スペインの守備ブロックを問題にせず、プレー単位をメートルからセンチメートル、ミリメートルに変えたような感じだった。

 久々に代表復帰したスペインのイスコが似たタイプだが、シェルキはそれに輪をかけたテクニシャン。しかもまだ21歳。タイプは違うが、ジネディーヌ・ジダンが出てきた時の異物感に近い。明らかに周囲と違う技術レベルの持ち主。シェルキをいかにチームに組み込むか、あるいは組み込めないのか。ディディエ・デシャン監督の采配が注目される。

 それにしてもアントワーヌ・グリーズマンを失って、まだオリーセとシェルキがいるフランスの層は分厚く、5人交代制をフルに使えるチームと言える。

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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