2026年ワールドカップへ欧州強豪がどんどん進化 5人交代制のフル活用と流れを変えられる選手たち
西部謙司が考察 サッカースターのセオリー
第52回 5人交代制で輝いた選手
日々進化する現代サッカーの厳しさのなかで、トップクラスの選手たちはどのように生き抜いているのか。サッカー戦術、プレー分析の第一人者、ライターの西部謙司氏が考察します。
今回は好試合が連続したUEFAネーションズリーグ準決勝から。5人交代制を生かしたポルトガル&フランスの様子と、そこで輝いた選手たちを紹介します。
ポルトガル代表のフランシスコ・コンセイソン photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【5人交代制の威力】
UEFAネーションズリーグの準決勝は、2試合とも選手交代で流れが変わっている。
ドイツvsポルトガルはフロリアン・ビルツが48分に先制。一進一退ながら、ややドイツ優勢の展開だった。しかし、ポルトガルが58分に3人を交代すると流れは一変。63分にフランシスコ・コンセイソンのゴールで追いつくと、68分にクリスティアーノ・ロナウドが決めて逆転。そのまま勝利した。
スペイン対フランスは稀に見るハイレベルだった。どちらも攻め合い、攻撃すれば決定機を作る。展開は互角だったがスペインが55分時点で4-0のリード。フランスは59分にキリアン・エムバペのPKで1点を返す。十分チャンスは作れていたので、あと1、2点は取れそうだったがさすがに3点差は厳しいかと思われた。
ところが、終わってみれば5-4。67分に5点目をゲットしたスペインに追いつくことはできなかったが、終盤の3連続ゴールは鬼気迫るものがあった。こちらも63分の3人交代で流れを変え、さらにふたりの交代で追撃の波を作っていた。
5人交代制が定着してから、選手交代は大きな意味を持つようになっている。
それまでの3人交代、あるいはそれ以前のふたり交代では、戦術的な交代はふたりないしひとりに限られていた。これは試合の流れや時間帯にもよるが、負傷者が出た場合を考えると交代枠をひとり残しておく必要があったからだ。
ふたりの交代ならば試合の流れを変えられるが、ひとりで大きな影響を与えるのは難しい。それが5人となればシステム変更も含め、フレッシュな選手を同時に3人入れるだけでも効果は期待できる。11人プラスアルファだったサッカーは、16人で考えるのが普通になったわけだ。
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著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。