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サッカー日本代表で希少になりつつある「右利きの右ウイング」 今後の台頭が期待される有力候補たち

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 かつてウイングと言えば、縦へのドリブル突破で敵陣深くまで攻め入り、センターフォワードにクロス(当時はセンタリングと言うのが一般的だった)を送る。それが彼らの役割だった。

 だが、時代は流れ、ボールポゼッションが重視されるにつれ、右サイドには左利きを、左サイドには右利きを、いわゆる"逆足"のアタッカーを両ウイングに配するチームが多くなった。

 逆足の選手のほうが、体をピッチの内側に向けやすく、ボール保持には適しているからだ。と同時に、カットインから利き足でシュートを打てる点も大きな魅力だった。すなわち、より得点に直結しやすいプレーができるのである。

 日本代表を見ても、久保建英、堂安律と左利きの選手が、右サイドでのプレーを得意としているのは、現代サッカーの潮流に沿ったものだと言える。

 しかしその一方で、逆足ゆえに攻撃を停滞させてしまう危険性もある。彼らの存在がボールの動きを中央に集めてしまうことにつながり、攻撃が狭くなってしまうからだ。

 攻撃が中央に偏り、ただただ強引に狭いエリアへと突っ込んでいくだけ。これでは人数をかけて守備を固める相手の思うつぼである。

 それゆえ、今ではむしろ希少な存在となった、"順足"のウイングが価値を持つ。日本代表で多くのチャンスを作り出してきた、伊東純也がその好例だ。

 たとえば、現在の日本代表のフォーメーション、3-4-2-1で考えたとき、右ウイングバックに堂安が、右シャドーに久保が入ると、どうしても攻撃ルートが中央へ向かいがちになり、攻撃が滞ってしまうことがある。

 そんなとき、伊東が代わって右ウイングバックに入ると、攻撃ルートが内と縦の2方向に生まれ、流れが円滑になるばかりか、攻撃全体に幅が生まれ、ニアゾーンも使いやすくなることがあるのだ。

 だが、貴重な人材である伊東も、すでに32歳。残念ながら、まだまだ伸び盛りという選手ではない。

 だからこそ期待したいのが、次なる"右利きの右ウイング"の登場である。

 幸いにして、日本代表の次代を担うパリ世代には、その候補がふたりもいる。

 平河悠と三戸舜介である。

日本代表デビューが期待される三戸舜介 photo by Getty Images日本代表デビューが期待される三戸舜介 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

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