レアル・マドリードを新境地に導いたベリンガム 表舞台と裏方を同時に行なえる逸材 (4ページ目)
【ベリンガムを中心に新境地の戦い】
22番のタイプが3人いる現在のレアル・マドリードは、その筆頭であるベリンガムを中心に新境地を拓いた。新境地というより、攻めても守っても強いオールマイティ体質をさらに加速させた。接戦の連続となるCL後半戦を制するための最適解である。
4番のように守り、8番のように走り、10番としてのアシストとゴール。いずれもハイレベル、さらに無類の勝負強さ。ベリンガムは、ディ・ステファノの正統後継者なのだ。本家がレアル・マドリードに来たのは当時キャリアの終盤とされた27歳、ベリンガムはまだ20歳。CL優勝は序章にすぎない。イングランド代表での活躍もこれから。ディ・ステファノには無縁だったワールドカップの舞台も待っている。
全部持っている選手としては、1980〜90年代に活躍したルート・フリット(オランダ)がいたが、フリットはすべてを任されておらず、その都度与えられた異なるポジションの範疇でプレーした。ベリンガムはすべてを委ねられている。キリアン・エムバペが加入する来季、レアル・マドリードはまた違った顔を見せるだろうが、ベリンガムの重要性は変わらないだろう。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
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