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アーセナルMFライスがプレミア最高峰の理由 風間八宏「攻守においてある特別な能力がある」 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【ボールを奪えて、奪ったあとに失わない】

「ひとつは、1対1の局面で絶対的な強さを誇っているということ。相手からボールを奪う能力がものすごく高くて、その奪い方にしても、なるべく相手の体に触れないようにして奪いきるテクニックに優れています。

 しかも足回りの距離が長いので、奪える範囲も広い。ほとんど無駄なファールを犯さないのは、そういったテクニックと特徴があるからです。

 もうひとつは、ボールを奪ったあとに失わないということ。失わないだけでなく、ボールを運ぶこともできれば、素早く正確なパスで次の展開につなげることもできる。つまり、守備と攻撃を連続して高いレベルでやり続けられるのが、彼の強みだと思います。

 そして何より、彼のプレーを見ていて感じるのは、すべてのプレーに連続性があるところで、たとえばそのひとつがポジショニングです。彼の場合、プレーをしたあとに次のポジションに素早く動いていて、ポジショニングに連続性がある。

 それは守備だけでなく、攻撃でも垣間見られます。ボールを味方に預けたら、次に自分が受け直すための場所に素早く動く。そのなかで常に視野をつくれている。そこが、彼が持っている特別な能力ですね。

 逆に言えば、その視野があるからこそ、ポジショニングなどプレーの連続性を保つことができるわけです」

 ライスと言えば、ウェストハムで実質的なルーキーイヤーとなった2017-2018シーズンこそ3バックの一角でプレーしたが、翌シーズンからはマヌエル・ペレグリーニ新監督の下、4-1-4-1のアンカー(ワンボランチ)に定着。その才能を一気に開花させた。

 そして今シーズン、アーセナルではアンカーのみならず、インサイドハーフも任されるようになると、プレーエリアがさらに広がったことによって、それまでになかった攻撃能力を披露するなど、さらなる進化を遂げた印象だ。

 実際、リーグ戦36試合を終えた段階で、ライスが記録したゴールはキャリアハイの7ゴール(それまでは昨シーズンの4ゴールが最高)。チーム内2位タイとなる8アシストもマークする。プレースキックも含め、相手ペナルティーエリア付近で危険な存在となっていることが、ライスの成長ぶりを物語っている。

 なぜライスは、攻撃面でも違いを生み出せるようになったのか。風間氏が、この点について説明してくれた。

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