「鎌田大地を巡るすべてが残留の方向を示している」ラツィオ番記者が現地から最新レポート

  • フランチェスコ・ピエトレッラ●文 text by Francesco Pietrella(『ガゼッタ・デロ・スポルト』)
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

 ラツィオの監督イゴール・トゥドールはこう語った。

「私は鎌田が10人ほしい」

 鎌田の未来が変わりつつあることが、この言葉によく表されている。フランクフルトでの16ゴールという実績を引っさげてラツィオにやって来た鎌田だが、約半年の間、彼は海のものとも山のものともわからない、ミステリアスな存在だった。だが、トゥドールがマウリツィオ・サッリに代わってベンチに座って以来、鎌田は常にピッチに立っている。第33節ジェノア戦では、ユベントス戦に続く今季2度目のアシストをマーク。前節のモンツァ戦では、彼の強力なシュートが惜しくもクロスバーを叩いたが、それがキャプテンであるチーロ・インモービレのゴールを生む助けとなった。

 ラツィアーレ(ラツィオサポーター)たちの鎌田への見方も変わってきている。デビュー当初は拍手喝采を送っていたサポーターたちだが、その後、ぱっとしない試合を繰り返す間に、いつの間にか鎌田に「役立たず」の烙印を押すようになっていた。しかし、今は風向きが変わった。誰もが彼に期待している。

前節モンツァ戦に先発した鎌田大地。試合は2-2の引き分けだった photo by REX/AFLO前節モンツァ戦に先発した鎌田大地。試合は2-2の引き分けだった photo by REX/AFLOこの記事に関連する写真を見る ラツィオのスポーツディレクター、アンジェロ・ファビアーニが1カ月前にこうコメントしたことは、以前の記事でも紹介した。

「鎌田との契約は1年だが、我々だけで決めるのだったら、もう少し長い契約をしていた。しかし彼は、1年試してみて、その後、更新するかどうかを決めたいと希望し、我々も彼を獲得するためにその条件を認めた。彼が今後どうしたいかは、シーズン終盤にわかるだろう」

 そしてまさに今がその時というわけだ。

 噂として流れた、鎌田がラツィオに100万ユーロ(約1億6800万円)を払えば契約が更新できるという不思議な契約については、選手側もチームもきっぱり否定しているが、しかし現在、ボールが鎌田の足元にあるのは確かだ。ラツィオはもちろん契約を更新したい。つまり、来シーズンもラツィオに残るのか、それとも新天地を探すのかは鎌田次第なのである。

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