アーセナルMFライスがプレミア最高峰の理由 風間八宏「攻守においてある特別な能力がある」
独自の技術論で、サッカー界に大きな影響を与えている風間八宏氏が、今季の欧州サッカーシーンで飛躍している選手のプレーを分析する。今回は今季アーセナルで大活躍しているデクラン・ライスに注目した。イングランドで高い評価を集める大型MFの何が優れているのか。ポイントは攻守を連続でやり続けられる、ある特殊能力だった。
【イングランドで最も高い評価を集めるひとり】
昨夏、イングランド代表デクラン・ライスがウェストハムからアーセナルに移籍した際に発生した移籍金は、ボーナス込みで実に1億500万ポンド(現在のレートで約203億円)。この金額は、ジャック・グリーリッシュがマンチェスター・シティに加入した際の移籍金を上回り、イングランド史上最高額とされている。
デクラン・ライスは今季のアーセナル躍進のキーマンになった photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 果たして、現在25歳のMFはその高額な移籍金に対する周囲からのプレッシャーをものともせず、あっという間に首位争いを演じる名門アーセナルの主軸に定着。ミケル・アルテタ監督のチームで、絶対に欠かせない戦力となった。
もちろん、目前に控えるユーロ2024でも、ライスは優勝候補イングランド代表の大黒柱として出場予定で、ガレス・サウスゲート代表監督からも絶大な信頼を寄せられている。
現在、イングランドサッカー界で最も高い評価を集める選手のひとりとなったライスは、どんな特別な才能を持ち合わせているのか。なぜこれほど高い評価を集めているのか。独自の視点を持つ風間八宏氏が、その特長について解説してくれた。
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著者プロフィール
風間八宏 (かざま・やひろ)
1961年10月16日生まれ。静岡県出身。清水市立商業(当時)、筑波大学と進み、ドイツで5シーズンプレーしたのち、帰国後はマツダSC(サンフレッチェ広島の前身)に入り、Jリーグでは1994年サントリーシリーズの優勝に中心選手として貢献した。引退後は桐蔭横浜大学、筑波大学、川崎フロンターレ、名古屋グランパスの監督を歴任。各チームで技術力にあふれたサッカーを展開する。現在はセレッソ大阪アカデミーの技術委員長を務めつつ、全国でサッカー選手、サッカーコーチを指導。今季は関東1部の南葛SCの監督兼テクニカルディレクターも務める。
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)