久保建英は「昨季の数字を上回るのは難しい」とスペイン人記者「心身ともにギリギリの状態」でシーズン終盤へ (3ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【厳しい状況は飛躍できる絶好の機会】

 直近のアラベス戦、私たちはメンディソロサ(アラベスのホームスタジアム)で意欲的で勤勉に取り組む久保の姿を再び見ることができたが、そのプレーはこれまでのような輝きからはほど遠いものだった。

 久保をよく知るアラベスのDF陣は、中盤の選手とうまく連係し、常にマークを怠らなかった。久保がボールを持つたびに激しく当たり、ターンを阻止し、ふたりがかりでボールを奪った。

 さらに、久保はコンディションが悪い状態で試合に臨まざるを得なかったため、持ち味であるドリブルで相手DFを突破するのに必要な閃きが不足していたのだ。

 久保は今、キャリアのなかで困難な瞬間を迎えていると言っていい。すでにラ・リーガでスター選手と見なされているため、毎試合、非常にタイトなマークを受け、息つく暇もない。

 ならば今こそ、ボールを非常にうまく扱える選手としての、内に秘めた能力をすべて引き出し、自分のプレーに宿るブラジル人のような魂を解放して逆境を乗り越える、ということを示さなければならない時だ。

 1年前のようなすばらしい成績を再び残すことは難しいかもしれないが、シーズンの正念場を迎えている今、肉体的にも精神的にも厳しいこの状況を乗り越えられたのならば、新たに大きな一歩を踏み出せるだろう。

 それは、より完成度の高い選手になり、より個性を備えたサッカー選手になり、そして誰もが認めるリーダーになる、ということだ。

 久保は今、さらに飛躍できる絶好の機会に直面している。私は、彼にはそれを証明する力があると信じている。傷つき、打ちのめされ、疑念を抱かれながら過ごしているシーズンを、最終的によりよい選手となって終えられると思っている。

 そして、もし彼がそれを達成できれば、ラ・レアルもチャンピオンズリーグ出場権争いに近づくことができるだろう。
(髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki)

プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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