久保建英は「昨季の数字を上回るのは難しい」とスペイン人記者「心身ともにギリギリの状態」でシーズン終盤へ (2ページ目)

  • ロベルト・ラマホ●取材・文 text by Roberto Ramajo

【心身ともにギリギリの状態でシーズン終盤を迎えている】

 久保は、時折高いクオリティーを発揮し続ける将来有望で攻撃的な選手から、その高い攻撃力を無効化するための策を練られるほど、大きな違いを生み出す選手へと変貌している。実際、彼をよく知る対戦チームは、昨季よりもさらに久保のことを研究して臨んできている。

 だから私は、久保が昨季に劣らないすばらしいシーズンを送っていると思っている。場合によっては、今以上の進化を遂げることもできただろうし、それは彼にとって義務かもしれないが、彼は決して停滞しておらず、むしろよくなっていると私は感じている。

 今の彼はあまり個人主義にならず、チームメイトとより深く関わり、チームのために自分を犠牲にできる成熟した選手になっている。それは、ボールを持っていない時のプレーにも表れている。後世に残るプレーや、シーズンのベストゴールを決めるといった、自分のことだけを考えて戦っているわけではなく、チームのためにより多くの犠牲を払っているのが見てわかる。

 もちろん、彼は自分の成績を向上させたいとも思っているだろう。しかしそれに執着しているわけではないことが、彼のプレーや献身的な姿勢に表われている。だからこそ私は、より完成度の高い選手になっていると感じているのだ。

 昨シーズンと数字だけを比べれば、歩みを止めているように見えるもしれないが、彼のラ・レアルでの安定した貢献度、それ自体が価値あるものと考えるべきだろう。

 では、ここから久保は何を目指すのか? ラ・リーガ残り8試合で、彼にはラ・レアルでの初年度に達成した成績を凌駕するという、容易ではない挑戦が待ち構えている。

 彼ならそれができると信じているが、その前に克服しなければならない"障害"がある。幸いにもビトリア(3月31日のアラベス戦)で負ったケガは軽傷とのことで、4月14日にホームで行なわれるアルメリア戦には間に合うだろうが、これは一過性の問題にすぎない。

 私が大いに懸念しているのは、彼が数週間前から抱えている筋肉面の問題のせいで日々の練習を思うようにできておらず、何よりも快適にプレーできていないということだ。

 彼のような選手がそのすばらしさを輝かせるためには、精神的にも肉体的にもフレッシュな状態を保つことが必要なのは言うまでもないが、今の彼からはそれが一切感じられない。これが現状、彼がベストパフォーマンスを発揮できていない主な理由だと思っている。

 つまりこれは、シーズン終盤の決定的な局面を、心身ともにギリギリの状態で迎えていることを意味している。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る