田中亜土夢「背番号はサウナに」「新しいスパイクはサウナで試し履き」...元U-20日本代表がフィンランドに戻った理由 (5ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Tomi Natri

 寒さが厳しく、税金も高い。だが、フィンランドでは個人が尊重され、自由にやりたいことをしながら心地よくプレーできるのは魅力だと田中は話す。

「街でサポーターにあっても、多くの人はプライベートを尊重してくれます。それに試合日もスタジアムにキックオフ1時間半前に集合すれば、それまではフリーなんです。たとえば日本だと、試合の3時間半前に集合して、一緒に食事して......みたいなのが一般的ですが、こっちでは調整は各自に任されている。試合がない日は、練習時間以外は自由に活動できるのはすごくありがたいです」

 内田篤人や槙野智章、安田理大ら、かつてともにU-20W杯を戦った仲間にも、徐々に引退する者が増えている。だが、現地の生活にも慣れ、ピッチ内外で充実の日々を送っている田中にとって、それはまだ先になりそうだ。

「若い頃から、なんとなく40歳くらいまでやれたら、とは考えていました。まだまだ体は動くので、いまはやれるところまで突っ走りたい。サウナに入って、いいコンディションを維持すれば、少しは選手寿命が延びるかなと思ってます(笑)」

プロフィール
田中亜土夢(たなか・あとむ)
1987年10月生まれ。新潟県出身。2005年にアルビレックス新潟の特別指定選手となり、前橋育英高を卒業後の2006年に正式入団。2014年まで在籍し、新潟でリーグ通算200試合(J1)に出場し17ゴールを挙げた。2015年にHJKヘルシンキに移籍し、2018年からはセレッソ大阪で2シーズンを過ごす。2020年に再びHJKへ移籍。これまで4度のリーグ優勝(2017年と2020年は国内カップとの2冠)に貢献、リーグ通算130試合以上に出場している。2020年8月よりサウナやサッカーなどフィンランドの文化を発信するサイト『MOI SAUNA』を運営。

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