田中亜土夢「背番号はサウナに」「新しいスパイクはサウナで試し履き」...元U-20日本代表がフィンランドに戻った理由 (2ページ目)
【スタジアムにもサウナ】
冬は寒くて雪の降るヘルシンキは、出身地の新潟にどこか似ている。新潟なら鳥屋野潟(とやのがた)、ヘルシンキならトーロ湾と、街の中心に"湖"がある雰囲気や、ロシアを挟んで西と東に位置し、規模感も近い。加えて、治安のよさやきれいな街並みが、サウナ愛好家の田中を再び引き寄せた。
フィンランドで暮らす以上、サウナは生活の一部と言っていい。
「日本人がお風呂に入るように、フィンランドではサウナに入るのが一般的。フィンランドの冬は陽が沈むのも早く、サウナに入ることで心も身体も温めているというか。(日照時間が短くなることで)鬱になってしまう人も少なくないので、健康面を考えてもサウナは必要なんだと思います」
フィンランドのサウナでくつろぐ田中亜土夢この記事に関連する写真を見る サッカー選手としてプレーするうえでも、サウナはコミュニケーションツールとして欠かせない。
「シーズン前のキャンプではサウナ付きのコテージに選手だけで泊まり、チームビルディングを行ないます。サウナの準備から、食事の用意や片づけまで、選手が役割分担をしながら1日を過ごすことで交流を深めるのが目的です。
また、フィンランドらしいのはスタジアムにもサウナがついていて、翌日が休みであれば、試合後のロッカールームでピザを注文しながらビールを飲んで、選手たちでサウナに入ることも。単純に寒さで冷えた体を温めたいのもありますが、たとえばマッサージが表面の疲れを取るなら、サウナは疲れを芯から取ってくれるというか、疲労回復効果があることも科学的に証明されているみたいです」
フィンランドのサッカーといえば、かつてHJKでプレーし、オランダのアヤックス時代にはチャンピオンズリーグ(以下CL)優勝も経験したレジェンドのヤリ・リトマネンを思い起こす人も多いだろう。彼には新しいスパイクを履く際、足に馴染ませるためにまずはサウナでフィットさせていたという伝説的なエピソードがある。
郷に入れば郷に従え――。田中もフィンランドへ行ってからは、新しいスパイクをおろす際に、サウナで1度試し履きをしているという。
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