ベンゼマが去り、モドリッチの後釜を獲得...世代交代がジワリと進むレアル・マドリードの来季はどうなる?
レアル・マドリードの栄光の象徴だったカリム・ベンゼマの、今シーズン限りでの退団が決まった。在籍14シーズン、クラブ史上2位の354得点を記録(1位はクリスティアーノ・ロナウド)。4度のラ・リーガ優勝、5度のチャンピオンズリーグ優勝、3度のクラブW杯優勝と、あらゆるタイトルを勝ち取った。2022年にはバロンドール(世界最優秀選手賞)を受賞している。
移籍先はサウジアラビア王者のアル・イテハドで、年俸は150億円以上とみられる。
「カリムはストライカーに収まらず、完璧なフットボーラーだった」
カルロ・アンチェロッティ監督がそう賛辞を送ったように、GKのティボー・クルトワと並び、チームの戦術と言えるFWが去った。35歳というベテランだけに退団は十分あり得たが、その衝撃は小さくない。輝かしい時代の終幕だ。
世界に冠たるレアル・マドリードは再生に向け、世代交代も余儀なくされる。どんな姿に生まれ変わるのか。
新生レアル・マドリードの御旗として、すでに大型補強が内定している。
イングランド代表の19歳MF、ボルシア・ドルトムントのジュード・ベリンガムが移籍金1億300万ユーロ(約150億円)プラス出来高3090万ユーロ(約45億円)で入団することになった。
レアル・マドリードへの移籍が内定したと言われるジュード・ベリンガム(ドルトムント)この記事に関連する写真を見る ベリンガムはオールコートで戦えるMFで、高いスキルを持ち、果断なプレーが持ち味で、相手ボックス付近で危険なプレーヤーとなる(昨シーズンはカップ戦も含めて14得点)。球際の強さも際立ち、五分五分のボールを相手に渡さず、奪い取れる。清冽なファイターで、新時代の息吹を感じさせる。
「試合は戦いの場。自分の中に飼う闘犬を目覚めさせる」
ベリンガムは自らの信条をそう語るが、覇気の強さはマドリディスタ(レアル・マドリードファン)好みだろう。すでに「次のバロンドール候補」と目され、37歳になるルカ・モドリッチの後継者と言える。ちなみにモドリッチは6月末に契約満了で、移籍の噂も消えないが、1年の契約延長が有力で、バトンを渡す転換期になりそうだ。
1 / 3
プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。