田中亜土夢「背番号はサウナに」「新しいスパイクはサウナで試し履き」...元U-20日本代表がフィンランドに戻った理由

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Tomi Natri

世界こんなところに日本人サッカー選手(4)フィンランド

 いまやサッカー日本代表メンバーのほとんどは海外組となった。昨年のカタールW杯では登録メンバー26人のうち、実に19人がドイツやフランス、イングランドなどサッカーの本場"西ヨーロッパ"でプレーする選手だった。この事実は、日本サッカーのレベルアップのひとつの象徴かもしれない。

 ただ、サッカーはスポーツのなかで最もワールドワイドであり、盛んなのは西欧だけではない。環境や求めるものは、その土地によって様々。世界中のあらゆる地域でプレーしている日本人選手を追った。

 2015年から2017年までの3シーズン、フィンランド1部ヴェイッカウスリーガのHJKヘルシンキでプレーした田中亜土夢(35歳)は、1度はクラブを離れ、2018年からの2年間はセレッソ大阪でプレーしたものの、2020年3月にHJKへ復帰。現在はフィンランドで通算7年目のシーズンを過ごしている。

フィンランドのHJKヘルシンキでプレーする田中亜土夢フィンランドのHJKヘルシンキでプレーする田中亜土夢この記事に関連する写真を見る フィンランドといえばサウナが有名だが、最初の所属時に「10」だった背番号は「37(サウナ)」に変わった。2020年8月には、フィンランド式サウナの魅力や現地の文化を伝えるWEBサイト「MOI SAUNA (https://www.moisauna.com/)」を立ち上げるなど、情報発信も積極的に行なっている。はたから見ると、田中はサウナが恋しくてフィンランドに戻ったようにも見えるが、実際のところはどうなのか。

「セレッソとの契約が満了になり移籍先を探していたのですが、なかなか難しくて......。チャンスがあればフィンランド以外の国でプレーしてみたい気持ちもありましたが、結局オファーはありませんでした。それでHJKに『もう1度プレーしたい』と連絡したところ、契約してもらえることに。フィンランドにはいい思い出しかなかったですし、もちろんサウナも好きで、日本でもちょうどサウナブームになりつつあったので、ヘルシンキに戻るのもいいかなと思って。それで背番号も?サウナ"にしちゃいました(笑)。

『MOI SAUNA』を立ち上げたのは、ちょうどコロナ禍で時間があったし、僕はフィンランドのトップリーグで初めてプレーした日本人選手でもあるので、せっかくこっちにいるなら、フィンランドの魅力を少しでも多くの方に知ってもらえたら、という思いで始めました」

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