田中亜土夢「背番号はサウナに」「新しいスパイクはサウナで試し履き」...元U-20日本代表がフィンランドに戻った理由 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by Tomi Natri

【初めてのヨーロッパリーグ】

「リトマネンのスパイクは本革のコパムン(アディダスの『コパ ムンディアル』)でしたけどね。最近は革製のスパイクは減りましたが、新しいのをおろす際は、水で少し濡らしてサウナで履いています。半分ネタみたいですが、ちゃんと靴下も履いていますよ(笑)」

 2020年から再びHJKでプレーしている田中。昨年はボランチにコンバートされた時期もあったが、今季は攻撃的なMFにポジションを戻し、4月5日のリーグ開幕戦(対ホンカ)でゴールを決め、その後も主力として出場を続けている。HJKは13試合を消化し7勝5分け1敗の暫定3位につけている(6月12日現在)。

「去年はボランチで出場することが多く、ボランチの面白さを感じ始めてきていたのですが、今季はまた左MFやトップ下に戻りました。35歳になっても多くの試合で起用してもらい、90分フルに出ることもありますし、楽しんでやっています」

 HJKは国内では随一の強豪だが、フィンランドのUEFAランキングは36位で、優勝しても欧州カップ戦に出場するためには予選ラウンドを勝ち抜く必要がある。これまで4度のリーグ制覇を経験している田中もヨーロッパリーグの本戦出場は昨季が初めてだった。

「(2試合に途中出場と)なかなか出番はなかったのですが、ローマ(イタリア)、ベティス(スペイン)、ルドゴレツ(ブルガリア)と対戦し、やっぱりすごい舞台だなと感じました。HJKのスタジアムは普段3000人から5000人くらいしか入らないのに、ヨーロッパリーグになると約1万人収容のスタジアムはほぼ満員。これまで予選ラウンドは何度も経験してきましたが、本戦は雰囲気が違いました」

 HJKは昨季のリーグ王者として、今夏もチャンピオンズリーグ(CL)の予選1回戦から出場予定だ。

「チームとしても個人としてもCL出場を目標にしていますが、そこまでの道のりが長く厳しいんです(本戦出場のためにはプレーオフを含め、4ラウンドを勝ち抜く必要がある)。ただ、一昨年はカンファレンスリーグに出て、昨季はヨーロッパリーグに出ましたし、またCLに挑戦できるのは刺激的。欧州にいないとできない経験ですからね」

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