サッカー日本代表を覆う「余裕のなさ」 森保一監督はなぜ「三笘は間に合う」と言ったのか
連載第82回
杉山茂樹の「看過できない」
J1百年構想リーグ、アビスパ福岡対名古屋グランパス戦を視察に訪れた森保一監督は、2日前に行なわれたプレミアリーグ、アーセナル戦で負傷した三笘薫(ブライトン)について「代表ウィーク(スコットランド戦/3月28日、イングランド戦/31日)には間に合う」とコメントした。招集する気、満々のようだ。
三笘のケガは重傷ではないと、ブライトンの医療スタッフから報告を受けたのだろう。だが、大丈夫か否かは、実際にプレーするその復帰後の姿を見て判断するのが常識である。
三笘は森保監督の所有物ではない。故障後の第一報を聞いただけでただちに「間に合う」とし、招集可能とするのはあまりにも短絡的。乱暴でさえある。それなりの常識を備えた監督なら、たとえ所属クラブでプレーすることができても大事を取り、ここは無理に招集しないと判断をする可能性が高いケースである。
日本代表監督はスコットランド戦、イングランド戦に何を求めているのか。目の前の試合に何が何でも勝ちにいこうとしているのであれば、筆者には、これぞまさに余裕に欠ける弱者の発想だと言いたくなる。ワールドカップでの目標を聞かれ、「優勝」と口にするような代表監督は普通、こんな真似はしない。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

