検索

三笘薫が敵ファンも魅了するプレーで勝利に貢献 CL出場を目指すブライントンには90年代のアヤックスのような強さがある (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

【下位にも好チームが増えている】

 かつてのプレミアリーグは、トップ4とそれ以外のチームとの間には差があった。ヨーロッパリーグ(旧UEFAカップ)に出場する5位、6位チームは、CLに出場する4チームのような優位性を、そこで示すことはできなかった。

 プレミアリーグは上位と中位との間に大きな格差を抱えていた。下位のチームになると、その差はさらに拡大し、古典的な放り込みサッカーが目立ったものだ。

 それはUEFAランクでなかなかスペインを抜けなかった理由でもある。スペイン勢は何年か前までは、レアル・マドリード、バルセロナの2大クラブ以外=バレンシア、デポルティーボ・ラ・コルーニャ、ビジャレアル、アトレティコ・マドリードといったチームまでがCLを賑わせた。そうした必ずしも金満とは言えないチームが欧州で活躍した例がプレミアリーグにはなかった。

 だが、現在のブライトンにはCLに出れば最大ベスト8まで進みそうな可能性を感じる。好チームが増えてきている。

 下位のレベルも上がっている。このブライトン対ボーンマス戦がいい例になる。冒頭で述べたように、順位差で10以上離れたチームの対戦と言うわりには内容は接近していた。プレミアリーグのレベルの高さを再確認した試合になる。ボーンマスが放り込むシーンはゼロだった。

 ブライトンにとっての朗報は、終盤、故障のマクアリスターに代わって出場した、パラグアイ代表の19歳、フリオ・エンシソが、後半の追加タイムに追加点を決めたことだ。それを含めて、マクアリスター不在でも大きな戦力ダウンにならないのではと楽観視させるプレーぶりだった。

 先制点を入れたファーガソンは18歳で、追加点を挙げたエンシソは19歳。さらに同じく終盤投入されたスウェーデン代表の19歳、ヤシン・アバス・アヤリも、後半38分、三笘に決定的なスルーパスを洒落たアクションから出していた。若い好選手が実はひしめき合っているのだ。1990年代中盤のアヤックスがそうであったように、この点でもブライトンは好チームの条件を満たしている。

 次週のスパーズ戦、さらにはその次の週のチェルシー戦を楽しみにしたい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

フォトギャラリーを見る

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る