三笘薫と久保建英の今季活躍の理由を福田正博が分析 「環境に慣れて高い技術力を生かせている」

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■ブライトンの三笘薫と、レアル・ソシエダの久保建英。2人の毎試合のプレーぶりが大きな注目を集めている。今シーズン、それぞれが活躍できるようになった理由はどこにあるのか。福田正博氏が分析した。

毎試合のプレーが楽しみな、三笘薫(左)と久保建英(右)毎試合のプレーが楽しみな、三笘薫(左)と久保建英(右)この記事に関連する写真を見る

【三笘薫は持ち味を生かすための間合いが取れている】

 三笘薫が日本代表としてコロンビア戦でゴールを決めると、所属クラブのブライトンに戻って最初のリーグ戦となったブレントンフォード戦でもゴール。続くボーンマス戦でもアシストを記録した。

 ゴールを決めたシュートそのものも、相手GKの立ち位置を見極めて冷静な判断をしたから生まれたものだったが、それ以上に日本との往復で長距離移動をしたあとでもしっかりと結果を残したことを高く評価したい。

 三笘はこれで今季のリーグ戦でのゴールは7得点となり、元日本代表の香川真司(現セレッソ大阪)、岡崎慎司(現シント=トロイデン)の持っていたプレミアリーグのシーズン日本人最多得点6ゴールを更新した。5月28日の最終節までに、ゴール数をどれだけ伸ばすのか大いに楽しみしている。

 ブライトンでの三笘は、カタールW杯での中断前まで途中出場がほとんどだった。だが、ブライトンの監督が交代したことや、同ポジションのライバル選手の移籍などもあって、W杯後はスタメンで起用されて、そこで結果を出し続けて地位を不動のものにしている。

 三笘のこの3、4カ月の活躍ぶりを海外では大きな驚きを持って受け止められているが、Jリーグ時代から彼のプレーを見てきたものにとっては、彼のプレーそのものはJリーグで発揮していたものと同じように感じている人も少なくないだろう。

 なぜ三笘が世界でもっともフィジカル強度の高さが求められるプレミアリーグで、Jリーグ時代と同じようなプレーができるのか。その理由にはポジションが関係している部分がある。もちろん、フィジカルコンタクトに対しては、海外移籍1年目にプレーした昨季のベルギーリーグを経験して高まっている面はある。だが、それ以上にウイングという立ち位置だからこそ、三笘自身の持ち味を生かすための間合いを取れている点が大きいだろう。

 三笘はボールが来る前の段階で、フィジカルコンタクトの勝負にならないような絶妙な距離感にポジションを取れている。だから、彼にボールが渡った時には、多くの相手DFが三笘の間合いで対応せざるを得なくなっているのだ。

 また、三笘が縦へのスピードと高いボールテクニックという、2つの武器を揃えているのも、プレミアリーグで主導権を握れている理由だ。対峙するDFが三笘のスピードをケアして少し距離を取ると、三笘は足元でボールを受けて前を向き、相手の重心の逆側を突くドリブルで突破。逆に足元のプレーを警戒してDFが三笘との間合いを詰めると、スピード勝負で縦に抜け出す。この対極にある2つの武器を、相手との状況をしっかり見極めて使い分けているからこそ、三笘はプレミアリーグで活躍できているのだと思う。

 三笘の活躍が示しているのは、「フィジカルコンタクトの部分がなければ」や「フィジカルコンタクトを避けられるポジションでは」といった注釈はつくにせよ、日本選手の技術力は世界に通じるということだ。

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る