堂安律「本当に最悪」だった体調不良 カタールW杯後、ドイツ戦ゴールのプレッシャーと戦っていた (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

【呪縛から解き放たれた堂安】

 昨年のW杯ドイツ戦では先制点を挙げて、日本代表の全5得点中4得点に関わった。当然、ドイツ国内での注目度は上がり、堂安の名前は地元フライブルクだけでなく全国区のものになり、その期待は大きく膨らんだ。

 ただ、指揮官からの信頼は変わらなくても、ゴールという数字としては出てこない──。焦らないほうがおかしい状況だったのだ。

 さらに不運が堂安を襲った。

 2月26日のレバークーゼン戦では、先発したものの25分に交代している。この時は負傷ではなく体調不良──つまり「風邪だった」とクラブは明かしているが、症状が重かったことを堂安は明かす。

「試合のあと、本当に最悪でした。しばらく嘔吐が続いて、40度前後の熱が何日か続いて......。本当に最悪でした」

 辛い状況下、考えは悪い方向に向かってしまった。

「寝込みながら、ふたつの意味で最悪でした。ひとつは体調のことで、熱がなかなか下がらず、回復していかなかったからです。もうひとつはピッチ上のこと。この数週間、僕にはずっと運がなかったし、今は寝込んでいるし、ずっとぐるぐる悪い方向に考えていました」

 通常の風邪よりは長くかかったが、それでも徐々に回復したことで思考も上向いた。

「体調がよくなってきて、気分もよくなりましたし、以前よりもエネルギーが増したような気にもなりました」

 チームメイトの励ましもあって、堂安はまた復活したとビルト紙は伝えている。この時の体調不良はよほど重かったようで、シュトライヒ監督も「堂安はいい奴だ。病気になったが、うまく回復させた」と感心したことをわざわざコメントしている。

 そのシュトライヒ監督は「彼はすばらしい選手だが、ゴール前の精度という意味ではもっと成長することができる」とも語る。また、堂安が向上心にあふれていることを評価し、「それこそが彼がうちにきた理由です。非常に好奇心旺盛で、批判に対してもオープン。私はとてもうれしく思っています」と話している。

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