日本代表と戦うウルグアイ&コロンビアは「勝ち組」、アルゼンチンは「見世物」 混迷する世界の代表戦事情

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 カタールW杯から3カ月を経て、各国の代表チームが再始動している。

 それにしてもサッカー界は、ここにきて急速に変化している。この50年で一番大きな変化かもしれない。史上初めて冬に行なわれたW杯に続き、次のW杯は3カ国開催、出場チーム数は32から48へと急増する。

 変化の波は国際親善試合にも押し寄せている。本来親善試合というものは、純粋に代表チームとしてのレベルを上げるためのものであるが、最近では政治やビジネスのほうが優先されるようだ。今回の代表ウィークはその混乱ぶりをよく映し出している。

 変化の大きな要因のひとつはUEFAの「囲い込み」だ。従来、代表戦が行なわれるのは11月、3月、6月、9月だ。だがサッカーの中心であるヨーロッパは、最近ではここで行なわれる親善試合の枠にはほとんど入らない。今回においては、ユーロの予選が始まるため、彼らはヨーロッパ同士でのみ対戦する。フリーなのは予選を戦わないユーロ開催国のドイツだけだ。6月にはネーションズリーグがあり、その後はまたユーロの予選となる。

 おかげで、非ヨーロッパの強豪国は対戦相手探しにかなり苦労している。自分たちにとって最適な相手を求めるという、ごく当たり前のことができなくなっている。

 割り切って親善試合をショー化したのは、世界王者に輝いたばかりのアルゼンチンだ。彼らが希望したのはアルゼンチンが提示する高い金額を払える国、そしてアルゼンチン国内でプレーするという条件を飲んでくれる国だ。

W杯優勝からの凱旋試合を戦うアルゼンチン代表のリオネル・メッシ photo by Reuter/AFLOW杯優勝からの凱旋試合を戦うアルゼンチン代表のリオネル・メッシ photo by Reuter/AFLOこの記事に関連する写真を見る W杯後、世界チャンピオンとなった自国のチームをアルゼンチン国民が見るのはこれが初めてで、試合は大人気となるはずだ。相手のレベルはどうでもいい。いや、逆に負けてお祭りに水を差されても困るから、あまり強くないほうが理想的だ。そこで決まったのが1戦目のパナマ。そして2戦目は、ほとんど誰も知らないカリブ海の小さな島キュラソーだった。

 偶然かもしれないが、どちらもタックスヘイブンの国だ。ちなみにパナマは3月28日にCONCACAFのネーションズリーグ戦が控えているため、ピッチに立つのはA代表でさえない。まさに茶番、ただの見世物でしかない。アルゼンチン人記者の多くは「こんな試合は恥だ」と言っている。

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