長谷部誠38歳、現役プレーヤーとしての挑戦。「うまくなりたい気持ちがなくなったらサッカーを辞めるべき」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

将来の監督に向けて着々と...

 もっとも10月にひざを負傷した長谷部は、多くの時間をタッチライン際でのウォーミングアップに費やした。ようやくピッチに立ったのは、1−3と2点のビハインドを追いかける75分のこと。大きな拍手で迎えられた背番号20は、コンディションを考慮して無理をしない程度のプレーに終始した。

 それでもパスカットがそのまま決定機につながり、終了間際には枠を捉えるミドルシュートも放っている。決して目立ったシーンはなかったとはいえ、そのプレーからは数々の経験を積み重ねてきた大ベテランの貫禄が漂っていた。

「今日は浦和が勝利に値したと思います。自分たちはブンデスリーガを代表してきているので、もう少しいいサッカーをしなければいけなかった。もう1試合ありますし、そこではもう少し調整できると思うので、大阪ではさらにいい試合をしたいです」

 試合後、長谷部は反省の弁を述べ、11月19日に行なわれるガンバ大阪戦への意気込みを語った。

 わずか15分間に終わったとはいえ、浦和サポーターの前でのプレーには感慨深い想いもあっただろう。

「試合後にグラウンドを一周した時に、浦和時代のものだったり、日本代表だったり、今のアイントラハト(・フランクフルト)だったり、自分のユニフォームを多くの人が掲げてくれていたことに感動しましたし、こんなに幸せなことはないと思います。ここに来れてうれしかったです」

 対峙した後輩である浦和の選手たちのプレーの感想を問われると、「多くの選手が日本人としての強みを持っているなと感じました。監督とも試合が終わったあとに、あの選手よかったねという話をしたんですけど、(どの選手かは)ちょっと秘密にしておきます」と、会見場の笑いを誘う余裕も見せた。

 まもなく39歳を迎える長谷部は、すでにドイツで指導者講習プログラムを受講するなど、将来への準備を着々と進めているという。

 フランクフルトのオリバー・グラスナー監督は「私の目から見て、現在でもプレーする監督に近い。今は選手ですけど、若い選手たちにコーチとしての助言もするし、ゲームを作っていってくれるし、選手たちを鼓舞してくれている。必要な質というものは備えていると思います」と太鼓判を押す。

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