カタールW杯ポルトガル代表選出に現地で批判が噴出。26選手中18人が同一の代理人だった

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 カタールW杯に出場する代表の少なくとも5つか6つのチームで、選ばれた選手が本当に適当であるかが熱く議論されている。その論点はいくつかあるが、そのうちのひとつが「代理人の力」。つまり、代理人の力が代表決定に、何らかの影響を与えているのではないかということである。

 多くの代表監督たちはこうした疑問を馬鹿げたもの、もしくは中傷であると思うだろう。しかし代表の決定を近くで見てきたメディアやサポーターは、論議するに値する問題と思っている。

 今回、最も奇妙に思えた代表選出はブラジルのダニエウ・アウベスだろう。ハイレベルなチームが3つは作れ、優秀な若手が山ほどいる人材豊富なブラジルで、なぜ、1カ月半近くほとんどプレーしていない39歳の選手が選ばれるのか。

 ただし、これに関しては誰かがダニ・アウベスを選ぶように圧力をかけたとか、代理人が裏で囁いたとかいうわけではない。これはチッチ監督の作戦だ。若手の多いチームには経験豊かな存在が必要だし、なにより彼はネイマールと仲がいい。何かあった時にネイマールに言うことを聞かせられるのは、ダニ・アウベスをおいてほかにいないのだ。

 おかしいと感じられるのは、若手が妙に多かったり、名前がほとんど知られていない選手が選ばれるケースだ。

 たとえばブラジルでは、ガビゴル(ガブリエウ・バルボサ)やロベルト・フィルミーノ、グスタボ・スカルパなどが招集から漏れた一方で、ガブリエウ・マルティネッリが代表入りをしている。彼はアーセナルでプレーする若手だが、ブラジルのメディアはW杯でプレーするほどのレベルには達していないと思っている。

 アルゼンチンにもメキシコにもウルグアイにも、そしてフランスにも同じような疑問を感じる選出はある。そこにはいつも代理人の関与が噂される。選手に「W杯に出た」という箔をつけさせ、より値を吊り上げるためだ、と。

ポルトガル代表として5回目のW杯を戦うクリスティアーノ・ロナウド photo by AP/AFLOポルトガル代表として5回目のW杯を戦うクリスティアーノ・ロナウド photo by AP/AFLOこの記事に関連する写真を見る たぶんどんなに議論しても、結局、この疑問に答えは得られないだろう。もしかしたら真実を言い当てているのかもしれないが、ありもしない陰謀論の可能性もある。ほとんどの監督は自分の仕事にそうした影響を受け入れることは許さないだろし、そうであると信じたい。

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