久保建英、「存在証明」できず。課題は強豪チームを崩し切れるか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 だが、ヘタフェは12分に追いつかれた後、劣勢を挽回できず、29分に得たPKもGKウナイ・シモンに止められる状況で、攻撃の選手に求められる役目はあった。

「今日のタケ(久保)は、あまりプレーに関与できなかった。その理由は相手のディフェンスが極めて謹直で強力だったからだ」

 ヘタフェの指揮官であるホセ・ボルダラスは、試合後にそう語っている。

「ハーフタイムには、タケに『サイドに張るのではなくて、もっと中でプレーしろ』と伝えた。(ミケル・)バレンシアガ(アスレティックの左サイドバック)に張り付かれていたからね。その点、後半は改善面があって、少ない中でも攻撃関与は良かったと思う。もっとも、相手のゴールラッシュによって、その印象まで消えてしまったが......」

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 後半になると、攻撃面で物足りなさがあった久保の動きは活発になった。

 右サイドでボールを受けると、巧妙にマイボールにし、何度かセットプレーで活路を開こうとした。また、自陣まで下がって相手を1人外して前に運び、リターンを受けた時にファウルを受け、カードを誘い、相手選手に守備の制約を与えている。あるいは左サイドに流れ、突破から左足で鋭いクロスを入れるシーンもあったが、惜しくもクリアされた。

 久保は68分、交代でピッチを去っている。

 この時点で、チームは3-1とリードされていた。その後、さらに2失点。守備が瓦解したことで大敗となった。

「今日はチームの攻撃を語るような内容ではなかった。完敗だったからね。我々はタケに満足している。彼はチームにたくさんのことをもたらしてくれるから。次の試合のことを考えるべきだ」

 ボルダラス監督の発言は本音だろう。それだけ、この日のヘタフェは低調だった。あえて戦犯を探すなら、バックラインの脆さだろう。

 しかしながら、久保は決定的仕事をする"助っ人"としてチームに迎えられている。各スポーツ紙も、星は1つ(0~3の4段階)。落第ではないが、守備タスクだけなら代わりがいないわけではない、といったところか。

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