高校卒業後、即海外クラブ入りした伊藤翔「仮に高校時代に戻ってキャリアを選択するとなっても、同じ道を選ぶ」
ベテランプレーヤーの矜持
~彼らが「現役」にこだわるワケ(2025年版)
第8回:伊藤翔(横浜FC)/前編
この記事に関連する写真を見る 今シーズンの初ゴールはJ1リーグ7連敗の状況で迎えた第26節、対ヴィッセル神戸戦だった。
三浦文丈トップチームコーチが新監督に就任して公式戦2試合目。昨年のJ1王者とのアウェー戦は、両者譲らず、スコアレスのまま後半アディショナルタイムに突入する。その均衡を破るゴールを叩き込んだのが、横浜FCの伊藤翔だ。
66分からピッチに立った彼は90+4分に左サイドを攻略したカウンターに合わせて一気にペナルティエリアに走り込むと、グラウンダーのクロスボールをダイレクトで合わせ、ゴールに沈める。
「前半は神戸も攻撃から守備の切り替えがすごく早くてなかなか好機を見出せなかったですけど、湿度の高さや暑さによる疲れもあってか、後半は少しずつスペースが空いてきていたので。いつもどおり"仕留めること"はもちろん、ルーズボールを拾うとか、後ろから来たボールの中継地点になって前にボールを送る役目をしようと思ってピッチに入りました。
そのなかで、試合終盤は相手の守備人数が少ないなと感じていたので、僕自身はあえて(自陣に)戻りすぎず、長いボールが来た時に反応できるポジションを心掛けていました。それが功を奏したというか、最後、(ボールに)追いつけてよかったです」
これがチームにリーグ戦9試合ぶりの白星をもたらす、決勝点になった。
「当然ながら勝てていない状況でも毎試合、みんなが勝つために力を注いで、準備していることに変わりはないですが、連敗から脱出するには通常の2倍、3倍の力が必要になる。かつ、勝負の世界では"結果"が出ないとやっていることに説得力が生まれないからこそ、何よりチームとして勝利をつかめてよかったです。
守備陣も踏ん張って無失点で耐えてくれていただけに、なんとか1点取って彼らに報いたいと思っていました。ただ、僕らが置かれている(残留争いという)状況は変わらないので、自分がやるべきことを続けていきます」
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今年でプロ19年目。FWとして"点を取る"ことを第一の使命に生きてきた。
「試合に出てゴールを決める。チームが勝つためにゴールを決めるという感覚は、いつも当たり前のように備わっていました」
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