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【Jリーグ】野々村芳和チェアマンがJリーガーの海外移籍に思うこと「クラブがビジネスとして扱うべき」

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

第6代Jリーグチェアマン
野々村芳和インタビュー(後編)

◆野々村チェアマン・前編>>「シーズン秋春制をどうしても推し進めたかったワケ」

「持続可能」は、現代社会のキーワードである。

 サッカーも例外ではない。現時点の課題を洗い出し、改善あるいは解消していくことが、5年後、10年後の成長につながっていく。

 では、日本サッカー界が抱える「現時点の課題」とは何か──。

 クラブの持続可能性を高める重要な要素として、「選手の移籍」に触れるべきだろう。

 プロフェッショナルのクラブにおいて、選手を売るのは、収入の増減に直結する商行為のひとつである。

 ところが、「人を売る」という行為がどこかネガティブなイメージを喚起させるからなのか、「安く売って高く売る」という経営方針を打ち出しにくい空気が、長くリーグ全体を覆ってきた。海外移籍については「自分たちの大切な選手を送り出す」といったムードが強く、「移籍で稼ぐ」ことはなおざりにされてきた。

 Jリーグの野々村芳和チェアマンに聞く。

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野々村チェアマンがシーズン以降の先に見据えるものとは... photo by Sano Miki野々村チェアマンがシーズン以降の先に見据えるものとは... photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る「世界のサッカー市場では、1シーズンでおよそ1兆2000億円のお金が選手の移籍に投じられています。ヨーロッパの5大リーグに次ぐリーグ、オランダやポルトガルは200億円から300億円くらいを稼いでいる。それに対してJリーグは、まだまだかなり少ない。

 自分たちが育てた選手が、その価値に見合った金額で移籍して、クラブに移籍金が入る。そのお金がアカデミーに投資されて、次代の選手が育つ。そのなかからまた、国内のクラブにステップアップする、海外のクラブへ移籍する選手が出てくる──。そうしたサイクルを作り出すことがクラブの持続可能性につながっていく、と考えます。

 Jリーグのクラブには、若い選手が育つ環境も、仕組みもある。だとすれば、どうやって選手を移籍させるかというところで、もっともっと腕をふるうべきでしょう」

 Jリーグは今年5月に、「移籍保証金等収入」を公開した。移籍金だけでなく、国際移籍の対価として得られる連帯貢献金、23歳以下の選手の移籍に付随するトレーニング補償も含めた金額で、2024年度の海外移籍の収入は45億円だった。オランダやポルトガルに比べると、かなり控え目な数字である。

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著者プロフィール

  • 戸塚 啓

    戸塚 啓 (とつか・けい)

    スポーツライター。 1968年生まれ、神奈川県出身。法政大学法学部卒。サッカー専誌記者を経てフリーに。サッカーワールドカップは1998年より7大会連続取材。サッカーJ2大宮アルディージャオフィシャルライター、ラグビーリーグワン東芝ブレイブルーパス東京契約ライター。近著に『JFAの挑戦-コロナと戦う日本サッカー』(小学館)

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