【Jリーグ】野々村芳和チェアマンがJリーガーの海外移籍に思うこと「クラブがビジネスとして扱うべき」 (3ページ目)
【安く買い叩かれないために】
野々村チェアマン就任後のJリーグは、成長戦略としてふたつのテーマを掲げている。ひとつは「全クラブがそれぞれの地域で輝く」というもので、もうひとつは「トップ層がナショナル(グローバル)コンテンツとして輝く」というものだ。
「ヨーロッパでは放映権料が、クラブの収入の大きな柱となっています。これまでのJリーグは、『おらが町のクラブを応援する』というのが放映権料の価値だったけれど、ホームタウンを超えていろいろな地域の人たちが、もっと言えばいろいろな国の人たちが応援したくなるクラブが出てきた時に、放映権料という価値はさらに上がると思うんです。
日本のクラブがクラブワールドカップに絶えず出場して、アジアを代表して戦っているという見え方になれば、アジアでの放映権料は上がるでしょう。そうやって国内にビッグクラブができると、選手の動きも変わる」
J1の下位チームやJ2のチームからでも、今はヨーロッパに移籍する選手が出てきている。それがよくない、と言うつもりはない。選手からすれば夢がある。クラブには『箔(はく)』がつく。
ただ、Jリーグの中小規模のクラブから国内のビッグクラブへ引き抜かれ、そこから海外にステップアップすることにも、意味はある。
それはつまり、日本のビッグクラブが現在の移籍市場におけるヨーロッパの中堅国の立場を担うことになる、ということだ。そちらのほうが、その選手の価値に見合った移籍金が日本国内で発生するのではないだろうか。少なくとも、安く買い叩かれるようなケースは減るはずだ。
クラブの経営規模拡大については、ヨーロッパでは外国資本の投資をどれだけ獲得できるかの勝負になっている。パリ・サンジェルマンの運営法人はカタール投資庁で、マンチェスター・シティはUAEの投資グループに買収された。チェルシーの経営者はアメリカ人の投資家である。プレミアリーグやイタリア・セリエAは、多くのクラブが外国資本の保有となっている。
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