【F1】角田裕毅に求められるのは、フェルスタッペンのような「すべてを忘れて、とにかくプッシュする力強さ」
F1第20戦メキシコシティGPレビュー(後編)
いつも不運が降りかかる角田裕毅(レッドブル)のメキシコシティGPだが、今年もピットストップのミスとチームプレーがなければ入賞ができていたはずだ。
「特に第1スティントは、マックス(・フェルスタッペン/レッドブル)から大きく離されてはいませんでした。ほぼ同じペースで周回を重ねることができていたので、最終的に3位でフィニッシュした彼と第1スティントの時点でそれほど大きく離れていなかったのはよかったと思います。
僕自身も厳しい状況のなかで、安定してマシンの性能を最大限に引き出すことはできた。それでも難しいところはあったので、これからしっかりと分析していく必要があると思います」(角田)
角田裕毅は「ベストな週末」と評価されたが... photo by BOOZYこの記事に関連する写真を見る レース序盤はフェルスタッペンのタイトル争いの相手であるオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を抑え、チームに貢献した。
集団のなかでの走行でパワーユニットの温度が上がり、冷却するためのリフト&コースト(ストレートエンドでスロットルを戻しエンジン負荷を下げること)や、低速コーナーでひとつ上のギアを使って回転数を下げるなど、地道な作業が要求されていたことも確かだ。
冷却効率を向上させる改良型フロアが、フェルスタッペン車のみに投入されていた差もあったのかもしれない。
そんななかでも角田は好走を見せた──レッドブルのローラン・メキース代表は評価する。
「裕毅はかなり以前まで振り返ってみても、ベストな週末だったと思う。最初のスティントはマックスと同様に長く引っ張ったが、とても力強く、マックスとのペース差は0.2〜0.3秒程度だった。しかし、ピットストップで少し時間がかかってしまい、結果的に彼が本来獲れたはずのポイントを失ってしまった」
2台ともにトラフィックのない状態で走った25〜31周目のペースを比べると、その差の平均値は0.217秒。そして予選Q2でもフェルスタッペンとの差は0.211秒差であり、新型フロントウイングが角田車にも投入されたこの週末は、着実にギャップを縮めていた。
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著者プロフィール
米家峰起 (よねや・みねおき)
F1解説者。 1981年1月31日生まれ、兵庫県出身。F1雑誌の編集者からフリーランスとなり2009年にF1全戦取材を開始、F1取材歴14年。各種媒体に執筆、フジテレビNEXTやYouTube『F1LIFE channel』での解説を務める。















