土居聖真には「鹿島の血」が流れている。意識している先輩FWとの交流 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 例に挙げたのは、横浜FM戦の77分に相手GKがロングボールの処理を誤り、上田が決めたシーンだ。直接的に土居は関与していないが、上田のプレッシャーをかける素振りが相手のミスにつながったのも、土居が言うジャブを打ち続けた結果だ。

 一見、地味に思える守備に労力を割いているのは、チームのためにという思いが強いからにほかならない。

 一方で、この時期はFWとしてプレーし、ゴール、アシストと数字も残している。守備だけでなく、攻撃についても聞きたいと思い尋ねると、「あんまり言いたくないんですけど」と、いたずらっぽく笑いながら教えてくれた。

「FWでプレーしている時は、最近、興梠慎三さんを意識しています」

 かつて鹿島でもプレーし、J1通算得点記録3位の158ゴールを叩き出す浦和レッズのストライカーを挙げた。

「もともと、サイドでプレーしている時も身体の使い方やボールキープの仕方は参考にさせてもらっていたんですけど、自分とそれほど身長も変わらないのに、慎三さんは身体も強いし、身体の使い方もうまい。得点パターンも多いので、LINEでいろいろと聞いているんです」

 こちらが前のめりになると、その交流を明かしてくれた。

「それもあって、ハットトリックをした時には『センターフォワードに目覚めちゃったか』と言われました。自分は慎三さんになれるわけではないですけど、参考にできるところはたくさんある。だから最近は、試合前にも慎三さんのプレー動画を見たりしています。

 自分が得点という数字を稼ぐには、FWでプレーしている時が一番。トップ下やサイドになればまた役割も変わるので、FWでプレーした時には点取り屋っぽいことに専念したいなと。FWは周りを活かすプレーよりも、まずは点を取ってこそ、ですからね」

 ゴール、アシストで結果を残している背景には、そうした秘密があった。

 チーム屈指のテクニシャンでもあるだけに、メンバーが揃い、状況が変われば、FW以外で起用されることもある。「だから」と土居は言う。

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