土居聖真には「鹿島の血」が流れている。意識している先輩FWとの交流 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「どこのポジションで試合に出ても、今は自分の色を出して勝負したいという思いが強いんです。ただ、与えられたポジションをこなすのではなく、どこのポジションであっても、ほかの選手とは違う自分の色を出す。

 サイドであればサイド、トップ下であればトップ下、FWならばFWと、自分が考える仕事というものがある。ほかの人とは違う、自分の色をそこで出したい。また、それを極めたいという思いも強いんですよね」

 鹿島でプロになって11年目、ジュニアユースから数えれば、17年目になる。土居が言うその色とは、きっとクラブカラーである"深紅"なのだろう。なぜなら、インタビュー中にそれを強く思わせてくれるエピソードを聞かせてくれた。

「相馬監督はファーストディフェンスを意識させるなかで、常に引かずに『前から』という方向性を示してくれました。個人的には、試合の展開や状況に応じてラインを低く設定することも必要なのではないかと思ったので、全体ミーティングの時に質問したんです。そうしたら、相馬監督は『それでもラインは変えない。勝っていようが負けていようが、前から行く』と言い切ってくれた。

 個人的に気になっていた、ということもありますけど、みんなの前でそれを聞くことで、試合に出ている選手はもちろん、試合に出ていない選手たちにもチームとしての方向性は伝わったはず。質問したのは自分ですけど、それによってチームとしての矢印が定まったというか、考えも共有できたと思います」

 このエピソードを持ち出したのは、ライン設定うんぬんについてではない。彼がチームの方向性を定めるために、あえて全体ミーティングで言及したという姿勢にある。

「そうやってチームのことを考えて発言するようになったのは、3年くらい前からかもしれません。以前は、自分がそんなことを言っている立場ではなく、ガムシャラにプレーするしかないと思っていました。今も口を動かす前に身体を動かすという姿勢に変わりはないですけど、身体も動かして、口も動かさなければと思うようになりました。

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