土居聖真には「鹿島の血」が流れている。意識している先輩FWとの交流 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 これまでも、みんながみんな、チームの勝利のためにという思いでプレーしていたけど、その思いの矢印がひとつの方向ではなかった。でも今は、勝利を積み重ねているように、チームとして同じ方向にその矢印が向いていると思いますし、その矢印が太くなっているとも感じられています。

 これも相馬監督がよく言うことのひとつですけど、僕らはチャレンジャー。その言葉がピッタリと当てはまるような戦いを、どの試合でも見せられている」

 そう言って思い起こしてくれたのが、3−0で快勝したJ1第13節のFC東京戦や、被シュートをゼロに抑えて2−0で勝利した第21節の名古屋グランパス戦だった。

「連戦でメンバーが変わっても質を落とさずに結果を残せたことで、チーム全体の底上げを感じることができました。とくにその2試合は無失点で終えられたように、鹿島っぽいと言われるチームのよさを出すこともできました。昨季、今季と、新たなことにチャレンジしようとしたところもありましたけど、一方で原点に立ち返れるところも、うちの強みだと思っています」

 チームに対して厳しい言葉を投げかけられるのも、自覚の表われだろう。

 攻撃もさることながら、土居がチームを牽引していると表現したのは、相馬監督も重視するファーストディフェンス、すなわち前線からの守備にある。まさにチャレンジ&カバー。チャレンジを示す攻撃も担う彼は、目に見えない守備でもチームをカバーしている。

「ここ数年、守備の楽しさもわかるようになってきました。最終ラインのワン(犬飼智也)も、僕のプレスのかけ方は後ろとしてもやりやすいと言ってくれている。ロングボールやクリアボールとは違って、意図したパスは守る相手も神経をすり減らすように、ボールを追うにしても、無駄に追いかけるのではなく、意図したプレスというものを考えながらやっています。

 自分のところで奪えずとも、後ろがそれに連動してボールを回収することができれば、結果的にいい攻撃につながる。自分のところで奪い切れずとも、プレッシャーを与え続ける。そうしたジャブが、F・マリノス戦で(上田)綺世が決めたようなゴールにもつながっていく」

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