サッカー日本代表が攻撃的な選手を並べながら防戦一方になってしまうメカニズムをひも解く
連載第86回
杉山茂樹の「看過できない」
ウェンブリーでイングランドに勝利して1週間あまりが経つが、何度振り返っても、特段、幸せな気分にならない。フレンドリーマッチの解釈は日本と他の国とではまったく違う。"結果"を話半分に留める文化が日本には浸透していない。ワールドカップアジア予選の戦いぶりなどを見ても一目瞭然。明らかに力が劣る相手にもベストメンバーをぶつけようとする。
強豪イングランドをウェンブリーで破った日本代表 photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photography だから、日本にベストメンバーをぶつけてこないイングランド側の気質が理解しにくいのは当然だろう。相手の立場になって考えることが難しいのだ。勝利に酔いしれる人の気持ちはわからないではないが、度が過ぎるとスマートさを欠く。お上りさんに見えてしまう。
この欄でもすでに述べたが、勝利を素直に喜べない具体的な理由は、メンバーを落としたイングランド相手に、防戦一方となった試合展開にある。日本の力を普通にぶつけていれば、試合内容でもっと競ることはできたはずだ。少なくとも"噛み合わせ"のいい、見ていて面白い試合になっていた。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

